ホーム | 日系社会ニュース | イタケーラ本派本願寺福祉事業センター=週1回、無料日語教室=地域の恵まれない子供達対象に=「学ぶ楽しさ知ってほしい」=意欲のある者のみ厳選

イタケーラ本派本願寺福祉事業センター=週1回、無料日語教室=地域の恵まれない子供達対象に=「学ぶ楽しさ知ってほしい」=意欲のある者のみ厳選

11月22日(土)

 イタケーラ本派本願寺福祉事業センター(奥卓恕施設長)で週に一度、無料の日本語教室が開かれている。地域の恵まれない子供たちに学ぶ楽しさを知ってもらいたいと九九年八月にスタートしたもの。「授業日数を増やしてほしい」と生徒の評判も上々のようだ。
 「『ガイジン』とは日本人からみて、外の人ということ。私たちは侮蔑的な意味で使っていません」
 十一日午後、福祉事業センターを訪れると、片谷とよこさん(二世、五八)が黒板に『外人』と書き、熟語の成り立ちなどを説明していた。
 日系人からガイジンと呼ばれることについて質問を受け、それに対する回答だ。生徒十人ほどが熱心にノートをとっている。
 片谷さんは元弁護士。四十八歳で、定年退職。両親から教わった日本語をブラジルに普及させたいと、開校当初から教室を手伝っている。「日系人の文化を伝えたい」と意気込む。  福祉事業センターは地下鉄イタケーラ駅から車で十分ほどの住宅街にある。
 近隣に住む子供たちが路上でサッカーに興じ、ボールが入ったと言ってはちょくちょく、塀を飛び越えて侵入。中には、納骨堂でいたずらをする子もいた。
 「多くは、家庭が貧しくて学校にもろくに通わせてもらえなかったのです」と奥施設長。自身、脳梗塞のため半身不随で車椅子の生活を送る。教壇に立つことは、リハビリにもつながった。
 授業料無しという評判はたちまち広がり、受講希望者がどっと押し寄せた。大半は、デカセギ目的の人だったという。
 「きちんとした日本語を身につけてほしい」と、小手先だけの授業を拒否。「登録している三十三人は学習意欲のある人だけ」だ。
 始めは、机につかせるのに苦労した。今では、自発的にあいさつが出来るようになった。二人の次なる目標は「リベルダーデ界隈で、日本語の腕試しをさせたい」ことだ。

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