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伯シリア間で通商協定=中東貿易の拠点に=ルーラ大統領の提案快諾=政治協力も求められる

12月5日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】アラブ外交で最初の訪問国シリアのダマスコを訪れたルーラ大統領は三日、両国の親善を祝して乾杯をし、シリアのアル・アサジ大統領を戸惑わせた。イスラム教国はアルコール飲料を禁じているため、乾杯は不謹慎とされている。大統領は認識不足で失策を演じた反面、ブラジルとシリア両国の通商協定を提案した。シリア政府は、ブラジルの中東貿易のために拠点となることを快諾した。

 大統領随行の経済使節団に参加したメルコスル代表のドゥハルデ元亜国大統領は、ラテン・アメリカとアラブの絆が結ばれたと歓迎した。ブラジルで二〇〇四年、両諸国は首脳会談を開催する基礎固めができたと述べた。またラテン・アメリカへの、シリア資本の参入を歓迎すると、同元大統領は表明した。
 ルーラ大統領はシリアのサッカー・チーム監督を、ブラジルへ試合の駆け引きを習得するため招待した。ほかに教育や文化、観光、衛生などで交流を深めた。アサジ大統領は両国が通商だけでなく、対米関係やイラク問題、ゴラン高原の領土問題で、ブラジルの協力を求めた。
 ルーラ大統領は両国が前世紀に物流システムを築きながら有効利用をしなかったことで、先進国にならい途上国間の経済協調の重要性を強調した。両国の企業家は投資と通商に関する意見交換を定期的に行い、一方が他方を支配するような通商関係は望まないとした。ブラジルは、国際レベルの完全な自由貿易を目指すと声明した。
 滞在中にブラジル・シリア合弁の砂糖会社を、一億五千万ドルを投じてシリアに設立することで合意した。これでブラジル産の粗糖が年間百万トン、金額にして二億ドルと機器類が輸出される見通しとなった。
 ブラジル・アラビア商工会議所のアタラ頭取は粗糖輸出の反面、精糖の輸出が減少するという。ただ砂糖取引を牛耳る国際マフィアに楔を打ち込むことになるのが、せめてものメリットだと述べた。

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