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コラム 樹海

 イラクで殺害された奥克彦大使と井ノ上正盛一等書記官(二人は「生命を賭して職務を遂行」したとして二階級特進)の葬儀がきょう六日午前十一時から東京・青山の葬儀所で執り行われる。葬儀委員長は川口順子外務大臣が務め小泉純一郎首相も参列する。公務中に狙撃され外交官が死亡の報道に政府と国民には大きな衝撃が走り、在外公館の警備の在り方についての新しい課題も浮上した▼川口外相は、自衛隊による警備を主張したけれども憲法の規制などがあり難しいらしい。だが殉職の奥大使と井ノ上書記官への対応は見事なまでに立派だった。弔慰金の増額もだし殉職した職員に対しては初めとなる二階級特進もいい。陛下は御紋菓を贈られて困難な仕事へと熱情を燃やされたお二人の心に応えられる▼成田での「無言の帰国」を出迎えた千葉県警儀仗隊。奥大使夫人・恵美子さんの「主人のした仕事を誇りに思っています」という言葉の持つ重み。井ノ上さんには小学五年のときに「アフリカ飢餓地帯」の番組を見た作文がある。そこには「日本人はあまりにぜいたくすぎるのではないでしょうか」「このようなうえに苦しむ人々に少しでもできることをしていかなくてはいけない」と飢えに泣く人々への思いを力強く綴る▼その井ノ上書記官も―専門のアラビア語を駆使しての活躍も志半ばにして死へと追いやられてしまった。奥克彦大使も「無念」の思いを抱いていたに違いないが、政府は二人の功績を認め旭日章を贈り霊を慰めることを決めたのもいい話だ。   (遯)

03/12/06