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イタリアぶどう選抜の功労者=臼井さん死去92歳

12月9日(火)

 ブラジルでのイタリアぶどうの選抜、改良、普及に尽力した功労者、臼井晋(うすいすすむ)さんが、六日午後四時半、肺炎のため日伯友好病院で死去した。九十二歳だった。葬儀は翌七日午前、フェラース・デ・ヴァスコンセーロス市葬として行われた。同日、あけぼのホームの竹村英郎ホーム長が通知してきた。
 臼井さんは、栃木県出身、三一年、第一回エメボイ実習生として渡航。四〇年フェラース・デ・ヴァスコンセーロスの果樹種苗園に招かれ就職。
 その後、同種苗園がイタリアから輸入した数本のぶどう穂木を得て、それらの品種、台木の適性研究の結果、イタリア種を選抜、改良を重ね、営利作物としての栽培技術を確立した。六九年、山本喜誉司賞受賞、七七年フェラース名誉市民証を受けた。
 篤農家だった。惜しみ無く、開発した技術をほかに分け与える人だった。私的には、高齢になってから伴侶、親しい人、住宅・土地を失うなど、不幸が見舞った。体が不自由になったところを見かねた援協が救済に乗り出し、あけぼのホームに入居させた。入居費支払いにも事欠いていることが公になると、支援者(団体)が資金カンパに乗り出した。死去前、ホームに見舞い客を迎えるのが楽しそうだった。
 初七日ミサが、十三日午後三時から、あけぼのホームで行われる。

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