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ロンドリーナ=にわかSARS騒ぎ=急きょ結核病棟へ隔離?!=実はただの肺炎を誤診か

1月24日(土)

 パラナ州ロンドリーナ市のサンタ・カーザ救急病院への日本人年金生活者M・Yさん(六二)の入院が、同市の保健衛生関係者を慄(おのの)かせた。同患者が重症急性呼吸器症候群(SARS)と思われるような医師の診断書を提示したためらしい。二十日付、パラナ州の地方紙、ジアーリオ・デ・ロンドリーナ紙、ガゼッタ・デ・ポーヴォ紙がそれぞれ報じている。
 SARSはアジア地域で多数の死者を出し、多くの国をパニック状態に陥れた新型肺炎。Mさんもまた、SARSの危険がいまだ叫ばれている都市、中国・上海から来た可能性があるとし、罹患の疑いが持たれていた。
 十九日午前、第十七地域保健所と同市保健局流行病調査課は、MさんからSARSの陽性反応がなかったことや、中国ではなく日本の岐阜県大垣市から来伯したことから、SARSの疑いを退けた。「患者は肺炎の診断書を見せたが、バクテリアが原因のもので、SARSではない」と断言。Mさんは糖尿病があり、貧血気味だが、SARS特有の異常な高熱、乾いた咳、筋肉と頭の痛み、食欲減退の症状も見られないという。
 Mさんはサンタ・カーザ救急病院がSARSの可能性があるとした後、大学病院(HU)へと搬送され、結核患者病棟に隔離された。HUの広報担当者によると、Mさんは医師団に付き添われ、すでにいくつかの検査を受けたという。流行病調査課は万全を期して、患者の隔離を続行し、また、血液を採取してフィオクルス試験所へと送った。検査結果は約十五日後に判明するらしい。
 関係者の一人は、「もし、医師たちがSARSについて十分な情報を得ていたら、日本はSARS流行地域ではないことが分かるはず。それに、このような厳重な応対も必要なかったでしょう」と指摘している。

 

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