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セテバンの実績踏まえて=リオのA・A校システム使用=日本で1万人が不就学=ブラジル子弟向け通信教育復活へ

2月12日(木)

 「ブラジル人学校にもいかない、日本の学校にも行かないデカセギの子どもたちをなんとかしなくちゃって、いつも考えていました」。一九九九年にブラジル教育省の命令で突然、五年間続けてきた日本でのブラジル人子弟向け通信教育制度セテバン(CETEBAN)を中止させられた篠田カルロスさんは、新しい形で復活させようとこの数年間、粉骨砕身してきた。
 このほど篠田さんが計画コーディネーターとなって、リオデジャネイロのアングロ・アメリカーノ学校の通信教育部門・正規教育国際センター(CIER)のシステムを使い、再び始めることになった。初等中等教育を提供する同システムは、すでに中国やアメリカなど四十八カ国で運営されており、約二十年間の実績がある。
 「親たちが協力して、子どもが集まれる場所を確保し、そこで通信教育を一緒にやるのが理想ではないかと思います」と、塾のようなあり方を説明する。実際の教育自体は、Eメールやファックス、電話などを通して、リオのアングロ・アメリカーノ校が直接行う。
 サッカーのジッコ選手が鹿島アントラースでプレイしていた頃、息子がこの制度を使っていた、などの実績もある。
 以前のセテバンでは、例えば、高校三年間分を半年で勉強して、日本で行われるスーペラチーヴォ(高校卒業試験)の臨むことができたが、今回のシステムは別。まとめて数年分を一気に勉強することはできず、一年一年、順々に通信教育を進め、三年たってはじめて高校卒業資格をもらえる、という具合。
 その代わり、セテバンであったような合同卒業試験を受けなくても教育省(MEC)が認定する卒業資格がもらえる。
 かかる費用は、入学金が二百五十ドル、郵送費(DHL)が半年で三百ドル、学費が年間千七百ドル。合わせて年間二千五百五十ドル(一カ月当たり二万一千円程度)となる。
 「日本では約一万三千人の日系子弟がブラジル人学校か、日本の学校に通っていると推定されますが、残りの約一万人がどちらの学校にも通っていない。親の責任は大きいです。ブラジル人学校がない地域の子どもたち、日本の学校になじめなかった子どもたちにも教育の機会を与えるのがこのシステムです」と篠田さんは力を込めて語る。
 篠田さんは、新しいシステムやブラジルの教育制度などについて、各地で説明会を行うために、九日に日本へ向かった。

 

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