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ごちそう作り振る舞う=青年ボランティアら「憩の園」訪ねて=日本から来た〝孫〟のように=喜劇も披露、アンコールの拍手

2月28日(土)

  JICAの日系社会青年ボランティア十六人が二十一日、グアルーリョス市の日系老人ホーム「憩の園」を訪問し手作りの昼食を振る舞った。食後は笑い所に満ちた喜劇を披露。「きょうは本当に楽しかった。名残惜しい」と、入居者が心から喜んだ一日を演出した。十六人は二十五日までに全員が日本に帰国。高齢移民との交流で二年に及んだブラジル生活を締めくくった。
 青年たちはこの日、午前九時には到着、早々に持ち場につき慣れた感じで料理の下準備をこなしていた。献立は「ちらし寿司」「アンショーバの焼き魚」「サーモンとブリの刺身」「煮しめ」など。特にホームでは盆と正月にしか食べる機会がないという刺身は計十キロが用意された。
 食事を前に、ホームを運営する「救済会」の左近寿一会長が「ここでは九十人の老人が生活している。月間十五万レアルの経費はすべて日系コロニアからの支援で成り立っています。きょう奉仕したということが今後の人生に生かせればいいですね」とあいさつ。
 ボランティアを代表した出口敬子さん(三三、サン・ミゲル・アルカンジェロ日本語教師)は「人との出会いがブラジルでの一番の財産となった。きょうは短い時間ですが皆さんといろいろなお話をさせていただきたいと思います」と食堂に集まった約四十人の入居者を前に語った。
 青年ボランティアがこうして帰国前にホームを訪ねるようになったのは去年からで、今年が二度目の試みだった。ホームで介護士として働くJICAシニアボランティア、清岡弘子さん(六七)は「一年前のことをみんなよく覚えているのだから不思議。一緒にご飯を食べてお話を聞いてもらうことがやっぱりうれしいんですね」と交流の継続を望んでいた。
 青年有志による演劇「ジャガイモころころ」も評判だった。村の地主から祝宴に招待された小作人たちが食事の席でおかす失態を面白おかしく描いたもので終演後、入居者からアンコールの拍手が沸き、「よく覚えておいて今年のナタールにでもやってみましょう」と大喜びの様子だった。
 笑いに包まれたサロンで入居者の一人、大沼惣吉さん(七五)が御礼のあいさつ。「心のこもった食事と誠にユーモアな劇をありがとう。こんなことはめったにない。帰られるのは名残惜しいがこれから郷里のため、お国のため尽くしてください。そして『憩の園』を忘れずにいてください」と語った。
 男性二人、女性十四人の青年たちは午後三時近くまでホームに滞在。入居者に移民船での生活ぶりや、移住後の暮らしについて積極的に尋ねるなど、思い思いに懇談していた。

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