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100周年事業4案=予算総額は109億円=『日伯センター』優先七千万ドル

4月6日(火)

 四月三日午前十時から開催されたブラジル日本移民百周年記念祭典協会(上原幸啓理事長)の臨時総会で、メイン事業は分野別に四案が承認され、予算総額一億三百八十万ドル(約百九億円)というコロニアにとっては天文学的な数字となった。優先順位が付けられ、一位は予想通り『日伯総合センター』で、そのための建設資金七千万ドルが集まり、「さらに余裕ができれば第二優先案、第三」(吉岡黎明プロジェクト委員長)という順位が付けられた。広く一般に議論をすることなく、一部の人々の思惑で決められた感が強いだけに、盛り上がりのないまま、今後どれだけ協力者が集まるかが注目されそうだ。

 決議された百周年事業案は優先順位順に、社会文化分野のサンパウロ市枠では(1)日伯総合センター(ブラジル日系研究者協会=総予算七千万ドル)、社会文化分野の地方枠では(2)サンパウロ州北西部総合文化施設(ノロエステ連合・第二地区=約七百十万ドル)、教育分野では(3)アルモニア学園高校部校舎建築(サンパウロ学生会=百十万ドル)、健康分野では(4)サンタクルース病院増築計画(同病院=二千五百六十万ドル)。
 会場となった文協小講堂に集まったのは、正会員団体六十のうちの四十団体代表者。それ以外に、同数程度の関係者や傍聴者が集まった。
 岩水マリオ祭典協会専務理事による議事進行は終始、ポ語中心に行われた。事前に広報されていたのは、「メインの事業を一つ決める」(吉岡委員長)ということだけで、臨時総会の場で「社会文化」「教育」「健康」に分かれてそれぞれ選ぶことが発表された。
 各案ともに「日本文化の普及・継承や日本語教育」を強調するプランだが、総会の最中、重要な提案や決定事項さえも、通訳されることはなかった。上原理事長は閉会にあたり、ポ語で「一世移住者への恩は大切」と強調し、途中で涙ぐんで言葉に詰まるなど感動的な挨拶をしたが、肝心の移住者の言葉で語られることはなかった。
 また、一週間前の理事会終了時の吉岡委員長による本紙記者への説明「当日は正会員団体による投票でメイン事業が決められる」は無視され、プロジェクト委員会の採点を承認する形で決議された。
 各案十分ずつ提案者から説明されたが、討論や質疑応答の時間もなく、「承認しない方は、手をあげてください」という岩水専務理事の言葉の後、瞬時に「では承認されました」の繰り返しで、質問や議論をはさみ込む余地のない議事進行だった。
 その他、定款を改正して、副理事長団体を三十から五十に、正会員入会期限を〇五年七月までに延期するように定款を改正することが決議された。また、サントアンドレー地区代表者の変更、新しい副理事長団体として、ニッポ・カタリネンセ協会(新里エリジオ会長)、アラゴアス日本人会(谷広海代表)、サンタクルース病院(横田パウロ理事長)が承認された。

 

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