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岐阜県中津川市からイグアスー移住地に=救急車届く=日本側、食糧“安保”視野に

5月4日(水)

 ブラジル国境から四十一キロ地点を中心に日本人移住地が広がるイグアスー(Yguazu)市に日本から待望の救急車が届いた。四月二十六日、農牧大臣、イグアスー市長、田岡功パラグァイ日系農協中央会会長、井上幸雄イグアスー農協組合長ら多数の来賓と市民代表が見守る中で、岐阜県から来訪した(株)ギアリンクスの中田智洋代表取締役社長から、イグアスー日本人会の栄田祐司会長に救急車が贈呈された。
 二〇〇二年国勢調査に基づくイグアスー市の人口は、九千百九十五人、その中で日系人口は二百六十一家族八百九十六人となっている。市の保健所には専任のパラグァイ人医師が勤務しているが、車輛がなく巡回医療サービスができないため、市長より日本人協会に協力依頼が出されていた。
 このことを知ったギアリンクスの中田社長が地元の中津川市役所に働きかけて、消防署より中古救急車を提供してもらったもの。中古とはいえ、完全整備されて届いたため、新品同様の姿となって市民の前に登場した。
 (株)ギアリンクスは二〇〇〇年十二月に設立された民間企業で、岐阜県美濃加茂市に本社を置いている。岐阜県とアルゼンチンの頭文字をとってギアとし、結ぶという意味の英語文字のリンクスを付けてギアリンクスとしている。
 日本が将来予測される食糧不足に地方自治体独自の努力で対応する〃食糧安全保障〃を視野に入れている。「一口十万円の株で県民に参加を呼びかけたところ、八千万円が集まった。食糧の安全保障に高い関心があることが証明された」と中田社長は説明している。
 二〇〇二年十月二十三日にアルゼンチンのブエノス・アイレス州と農業分野で関係を深める覚書を締結し、翌二十四日にはパラグァイ日系農協中央会と食糧供給協定に調印した(本紙・二〇〇三年十一月二十二日報道)。非遺伝子組み換えで高タンパク質含有のパ国特産大豆「オーロラ」に注目したのである。そのようなつながりが今回の救急車贈呈を実現した。

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