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高校レベルの日本語教育=イグアスー移住地、今月から=日本留学に対応できるように=日語校新校長は堤さん

5月7日(金)

 パラグァイのイグアスー(Yguazu)移住地にある日本語学校で、今年一月に東京農大卒の堤和子さん(旧姓・堀内、青森県出身)が校長に就任した。これを機会に、小学と中学教育に加えて「高等学校レベル」の教育を五月から実施することになった。一コース三年間で、毎週土曜日に二時限授業を行う。「日系子弟の希望者を対象に、日本への大学留学や研修に対応できるよう、日本語一級レベルを目指す。文書能力を高めることも目標」(堤校長談)だ。
 移住地が始まったのは一九六一年。二年後に日本語学校が開校した。運営母体はイグアスー日本人会(栄田祐司会長、福岡県出身)だ。二〇〇三年十二月までの卒業生は、小学生六百五十五人、中学生四百二十四人と記録されている。
 今年の一月に「成人コース」が始まった。定員十五名で、十五歳から三十歳までの、たとえば、看護婦や市役所職員など、日本語の会話などを希望する非日系の勤労者が対象だ。火曜日と木曜日の午後五時から一時限の授業を行っている。
 また、非日系と日系でも日本語を常としない家庭の子供たちを対象に日本語能力を高めるための「ラパーチョ・コース」が〇〇年九月に始まり(本紙・〇二年八月二十二日報道)好評なので継続して実施されている。
 時間割により、ラパーチョ・コースだけの授業と一般児童(日系)と一緒の併合授業がある。今年四月二十六日現在の在校生数は百四十名(男子六十八、女子七十一)で九人の教員(男子三、女子六)で対応している。校長を含めると十名だ。授業日は小学部が月水金、中学部が火土で、木曜日は予備日となっている。
 堤校長は「近年はパラグァイ人子弟の数が増えていますが、日系子弟の教育を第一義と考えています。そのためにも、移住地建設のために祖父母たちが頑張ってきた姿を今の子供たちに伝えたいのです。その授業を小学六年生を対象に週二回行います。第一回目として五月と六月に、開拓が行われてきた現場で授業を行う計画です」と温故知新を視野に入れた教育方針を披歴している。
 自然に囲まれた現場が教室、という移住地ならではの発想だ。電気もガスもない現場体験に今の移住地の子供たちがどう反応するか興味津津だ。人口九千百九十五人のYguazu市人口(〇二年国勢調査)の中で、一割にも満たない日系社会(八百九十六人)ながら、一方で農業を中心に市の発展の中核を担い、他方、教育で日系・非日系両方に日本文化を発信する努力が続けられている。
 昨年十二月まで二十五年間(うち十五年間は校長として)日本語学校で子弟教育に携わってきた菅原祐助さん(岩手県出身)は、今年から日本人会の書記理事(総務部・文化部担当兼務)として活躍している。

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