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YKK=本社役員に伯二世起用=支社長の石川氏、進出企業初

5月13日(木)

 YKK・ド・ブラジル社の石川清治社長(五六)が、四月一日付で本社副社長(グローバル執行役員)に就任した。七五年、会計課々長として入社した石川社長は八七年専務取締役、八九年副社長を経て、九四年、四六才で現職に。〇〇年からは南米総括責任者を兼任していた。ブラジル日本商工会議所の副会頭も務める。田中信会頭は今回の人事について、「日本からの進出企業で働く日系二世は多いが、本社役員に起用されたのは初めて」と、みている。
 十日、石川社長の友人である有馬庄英、サムエル・ヨシダ、遠山影任、スズキ・ヴァグネル各氏の肝いり、祝賀会がサンパウロ市内のホテルで開かれた。
 石川さんは「本社の副社長になることなど考えたこともなかった。だが、二世の人たちに前例を作っておくのも、使命だと引き受けた。もっとYKKの発展に力を尽くしたい」と、抱負を述べた。
 また、「世の中のグローバル化してくると、言葉や現地の社会経済の事情に明るい現地採用社員が幹部に登用される例が増えてくるのではないか。さらに日系企業でも非日系の幹部社員が増えてきており、人事の現地化が進んでいる」との見方を示した。
 マリリア市生まれ、アダマンチーナ市で小学校卒業後、サンパウロ市で補助事務員として、三月二十五日街の玩具屋で働き始める。FACESP大学会計学科で学び、サフラ銀行グループに一年間勤務した後、YKKに入社。
 石川さんはブラジル文化にも造詣が深く、さまざまな形で文化振興を支援。〇二年には文化芸術界の推薦でカルロス・ゴメス文化勲章を〇二年に受章した。
 YKK・ド・ブラジル社は世界シェアでトップのファスナー二部門(T&P、S&B)をはじめ、石材採掘、工作機械製造、農牧畜など六部門を多角経営。従業員は八百人、〇二年の売上は一億五千万レアル。

 

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