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日伯NGOの交流促進=サンパウロ市にNGO―JICAジャパンデスク=草の根協力の円滑化支援

6月4日(金)

 草の根レベルでの国際協力事業の円滑化を図ろうと、「NGO―JICAジャパンデスク」が二日、サンパウロ市に開設された。日本のNGO(非政府組織)、地方自治体などに対し、ブラジルの社会事情や各種NGOの存在について情報を提供していくことが主な役割となる。世界で十七ヵ所目、南米ではアルゼンチン、ボリヴィア、メキシコに続く。開所式には県連、援協、商工会議所といった日系団体の代表も集まり、国際協力への参加に関心を示した。
 日本のNGO、地方自治体などが技術協力を推進する上で、現地活動に必要な情報、連携できる現地NGOを紹介するのが主な仕事だ。JICAは〇二年、このデスク制度を導入。サンパウロ支所では今年二月から関連業務を行なってきたが、新事務所を構え、本格的な活動に乗り出す。
 事務所はパライゾ区のビル九階に設置。コーディネーターには、弁護士でACEBEX会長を務める木村マウリシオさん(3世、30)が就任した。ABEUNIのメンバーとしてボランティア活動に豊富な経験もある。
 開所式にはサンパウロ市議会のウィリアム・ウー、羽藤ジョージ両市議をはじめ、日系団体と現地NGOの代表らが集まった。木村さんは「環境問題や貧困社会問題などに取り組むNGOの登録から始める。日系団体からの情報も収集したい」などとあいさつ、協力を広く呼びかけた。
 日系団体が関係するブラジルでの技術協力事業では、アマゾン群馬の森建設、兵庫県のNGOが実施しているパラナ州の沿岸保全事業などが挙げられる。いずれも県人会が関わり、事業が進行中だ。
 JICAブラジル事務所の松谷広志所長は「今後はもっと多くの『草の根技術協力事業』案を成立させたい」。また、サンパウロ支所の小松雹玄所長は、日伯のNGOを結びつける役割をデスクが担っていくことをふまえ、「お見合いの場ができたので、『結婚』をどんどん進めたい」などと祝辞を述べた。
 出席した六つのNGOを代表して、サンパウロ市のスラム、モンテ・アズール・コミュニティ代表のウテ・クラエメール(六六)さんは、「JICAから三年間支援してもらって、貧しい子供達に本や文房具など買えました。お陰で暴力や薬物に走る子供は減った。NGOの活動は人目にこそつきにくいが、こつこつと地道にやって行くことで成果が出る」と語り、その重要性を強調していた。
 ジャパンデスク事務所の電話番号は11・3885・6565。住所_Rua Abilio Soares 227 Coj93 Sao Paulo SP。
 

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