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UNCTAD=途上国との信頼作る==日本から官僚13人が来聖

6月15日(火)

 サンパウロ市で十三日から行われている第十一回国連貿易開発会議(UNCTAD)の総会に出席するために、日本政府は外務省を中心に十三人を派遣した。首席代表は山崎隆一郎特命全権大使。そのうち米谷光司首席事務官(外務省経済局開発途上地域課の自由貿易・経済連携協定室)が十三日午後、在聖総領事館で記者会見を開き、日本政府の姿勢などを説明した。
 百九十二カ国が加盟する同会議は、貿易と開発分野における国連総会の主要機関として一九六四年に設立された。四年に一度、総会が開催され、次の四年間の優先的取組み事項などを決定する。前々回の南アフリカ総会には池田外務大臣、前回のタイ総会には故小渕首相が出席した。
 米谷首席事務官は「UNCTADを通した途上国支援を今後も続けていくというメッセージを伝えると同時に、新ラウンド交渉を軌道にのせるため、交渉に向けた途上国との信頼感形成、雰囲気作りをする」ことを、今総会に臨む日本側の姿勢と説明した。
 昨年九月、メキシコ・カンクーンで開催された世界貿易機関(WTO)閣僚会議は、先進国の農業補助金や高い輸入関税を巡り、ブラジルやインドを始めとする発展途上国グループが反発し決裂。新多角的貿易交渉(新ラウンド)は行き詰まり状態にある。
 WTOは年内の新ラウンド合意を目指しており、米国と欧州連合(EU)はすでに農産物輸出補助金に関する譲歩案を出すなど、途上国に寛大な対応を求めている。日本を始め先進諸国は今回、新ラウンドを進める上で、その下地になる共通認識の〃雰囲気作り〃を目指している。
 ブラジルなどの途上国が実施したい開発政策が、経済のグローバル化を進めたい先進諸国の政策と対立しないよう、途上国への支援や技術協力などとセットの多角的交渉を進めることで擦り合わせをしてきたのが、昨今の流れ。そのため、今総会の主要議題は「途上国の経済成長と開発のための、国家の開発戦略とグローバルな経済プロセスとの間の政策一貫性の強化」となっている。
 グローバリゼーションにより、途上国にとっては経済政策として採用できる選択肢が制限されつつあると言われる。途上国側から今回どのような提起がされるかにより、新ラウンドにも少なからぬ影響が生まれると見られている。多くの国の通商代表が顔を合わせる稀な機会だけに、そこでの議論動向に注目が集まっている。
 十五日午後、山崎大使が総会で七分程度の演説をする予定。最終日の十八日には二種類の文書、今後四年の方向性を二十~三十頁にまとめた「行動計画」と、よりコンパクトに政治的なメッセ―ジをまとめた「サンパウロ宣言」が採択されることになっている。
 日本からは外務省から六人、農林水産省から三人、経済産業省から一人、ジュネーブ本部担当者二人、北米から一人、計十三人が来伯した。ブラジル政府との個別の会議は予定されていない。(二面に詳細記事)
 

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