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押し花は芸術作品=従来のイメージ覆す=―保存技術研究・普及につとめる杉野さんー=「茶道や盆栽のように世界に通じさせたい」

7月7日(水)

  押し花といえば、すぐに思い浮かぶのがしおりや標本。だが、押し花は美しい芸術作品にもなりうる。杉野宣雄さん(花と緑の研究所所長)は、父・俊幸さんと共に押し花の保存技術などの研究・普及活動に努め、従来の押し花のイメージを覆す押し花絵画を次々に発表している押し花作家。今年三月には、横浜で「美しき押し花の世界 杉野宣雄展」を開催、三万五千人が足を運んだ。
 初来伯となる今回は、二日から十日まで、ブラジルで押し花教室を開く巽ミリアン早苗さん・今井みどりアリセさんや在野の植物学者で十五万点の植物標本を所有する橋本梧郎氏(91)を訪問し、日本には無い珍しい植物を採集、日本に紹介するため、やってきた。
 杉野さんがブラジルに興味を抱くようになったのは、今井さんが日本に送ったインバウーバの葉を目にしてから。二〇〇三年にはこの葉とパンジーの押し花を組み合わせて「ブラジル」というタイトルの作品を発表している。「日本にはないブラジルの珍しい植物を手に入れたい」と考え、来伯に至った。
 杉野さんは、押し花が自然の美しさ、造形美や環境保護を訴える手段になると考えている。また押し花をきっかけに人々に生きがいを追求してもらいたいと望んでいる。しかし、ブラジルでは押し花を知る人はまだごく少数。「大きな押し花の輪がブラジルにも広まれば」と話す。
 今井さんと巽さんは、杉野さんが副会長を務める「ふしぎな花倶楽部」の会員で、五月末から十八人の生徒を対象に押し花教室を開いている。杉野さんは「二人にはブラジルに押し花を広める伝道師になってもらいたい」とエールを送る。今後は、日伯でさまざまな技術交流をしていく予定。
 杉野さんの夢は日本文化の一つとして押し花を世界に広めること。「茶や盆栽みたいに、〃OSHIBANA〃を世界に通じる言葉にしたいです」
 今後は、ボニート(南マット・グロッソ州)へ植物採集に行き、九日に今井さんと巽さんが開く押し花教室を見学、講習会を開く。

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