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欧米に比する会議所へ=変化する世界情勢に対応=コンサルタント部会が提言

8月12日(木)

  ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)のモットーは「開かれた会議所、チャレンジする会議所、全員参加の会議所」。より一層の活性化を迅速に進めるために、五日午後の業種別部会長懇談会で、コンサルタント部会の桜井悌司部会長より「商工会議所活性化特別タスクフォース」設置の提言があり、常任理事会で検討されることになった。
 例えば、ブラジルで最大勢力を誇る米国商工会議所の会員は約五千五百六十社、ドイツ商工会議所はやはり一千社以上を抱えるが、日本商工会議所は約二百八十社というのが現状だ。会議所としての存在感、影響力を増すためには、色々な改革が必要だとの意見が以前から出されていた。
 その提言によれば、九月からの三カ月間に、「新しい日伯関係にふさわしい会議所のあり方」について議論し、来年度事業に反映させ、変化する世界情勢にマッチした新しい会議所をめざす。
 今回、問題に上がったのは「商工会議所の目的」「組織」「人」「金」「運営」と「課題」の六項目。「目的」では、会員間の親睦に重点が置かれているが、今後は本来の会議所の目的に添った事業運営への方向転換の検討が提言された。
 「組織」では事務局の増大する業務対策、時代のニーズにあった組織、スピーディに対処できる権限委譲などの再検討。常任理事会のあり方、委員会の数や業務量のバラツキ問題を検討。また欧米系会議所がもっている「人材関連コミティ」の設置の検討。また「企業の社会的責任」「ブラジルコスト関連」「FTA関連」「投資促進関連」「五つの在ブラジル日本商工会議所やメルコスル内の日本商工会議所との連絡関連」や「出稼ぎ企業支援関連」委員会の設置を検討。
 「人」では会議所の役員はボランティアで成立しているが、理事や部会長の選出方法、人数や業務分担の分析が必要とされた。
 「人」と並んで重要なのが「金」。会員数の増加は会議所の活性化及び発言力の強化につながる。欧米系会議所のホームページなどと同様に、広告収入の増収を図る。各種イベントのスポンサー確保。セミナーやシンポジウムなどの共催活動を積極的に推進する。
 「運営・各種プログラム」では総会の会議方式の分析。月例昼食会では毎年ブラジルや日本の要人を招待できる実力の強化。また各委員会や各部会の必要に応じ、サブコミティの設置の検討する。
 最後の「課題」は会議所の国際化だ。会員企業の立場擁護などで、今後はブラジル政府当局に提言する機会も増えることが予想されるので提言能力の向上対策。企業の社会的責任活動や優秀企業の表彰制度の検討される。全会員企業からのアンケート調査によるコメントや意見の収集。七月のEMBRAER社見学のように、有意義で参加しやすいプログラムの実施。〇八年の移民百周年祭への協力や支援。世界中の日本商工会議所との連携などの検討が必要とされる。
 提言内容を説明した桜井さんは、「日本経済は成長路線に乗り、ブラジルも輸出が好調で、今年の経済成長率三・五%を見込んでいる。多くのブラジル政府要人が日本を訪問、また日本からも衆議院議員の調査団の訪伯などが予定されており、両国関係は緊密化していく。ブリックス諸国の一つであるブラジルも世界的に注目されている。今までとは違う両国関係に柔軟に対応でき、魅力的で開かれた会議所をめざして活性化しましょう」と提言した。

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