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ブラジル国籍の外国人弁護士=日本でわずか3人=石川エツオさん=浜松拠点に法律相談=自ら工場労働も経験=昨年、浜松ブ協会を創立

8月21日(土)

 日本に三人しかいないブラジル国籍の法務省公認外国人弁護士の一人、日系二世、石川エツオさん(43、聖州バウパライーゾ市出身)は、十五年前から住む静岡県浜松市を本拠地に、日伯のパイプ役として活躍する。昨年立ち上げた浜松ブラジル協会(ABRAH)では、ブラジル人側が主導して、日本人の地域指導者と共に団体を創立するという、日本初の試みを成功させた。「この協会ができたこと自体、ブラジル人コミュニティと日本人社会が近づいている証明ではないでしょうか」。仕事の関係で、年に五回は日伯を行き来するという石川さんに、浜松の様子を尋ねた。
 浜松市砂山町にある石川さんの「外国法事務弁護士事務所」には、毎日、デカセギたちから相談が持ち込まれる。離婚などの家族問題、労働災害保険に関係した労働事故、雇用条件に関係する労働基準法関連などの相談が多いという。
 「本来なら労災が適応されて年金などがもらえるはずのケースが、日本の法律に無知なために一時金で済まされていることが多い」と警告を発する。
 例えば、出勤途中で交通事故にあい、膝を傷めて立っていることもできなくなった五十歳日系男性がいる。「僕のところに来る以前に、車の保険から幾らかもらって示談書にサインしちゃっていたんですね。でも、車の保険とは別に、労災保険が適応されるはずだからと手続きをしました」という。
 また、「事故から二年以内なら、すでにブラジルに帰ってきていても、さかのぼって労災保険を申請することはできます」と呼びかける。
 石川さんが最初に訪日したのは八九年だった。両親は、すでに東洋人街に法律事務所を開いていた息子が、日本に働きに行くのを聞いて反対した。「最初は私もただのデカセギでした。三年間ほど、工場で働きました」。その後、法律事務所を開き、昨年ブラジルの弁護士資格を日本で認めてもらう許可を正式にもらった。
 日本国内で正式に活動できる外国人弁護士は三百人弱いるが、九割がアメリカ人。他は中国、韓国、欧州人らで、ブラジル国籍では三人しかいない。石川さんはその二番目だった。「工場で働いた経験があるから、デカセギの言うことがよく分かります」。
 愛知県に次いで、四万人以上のデカセギ伯人を抱える静岡県。その中心的な工業地帯である浜松市には一万三千五百人の伯人が住む。かつては、ブラジル人が入ったら注意を促すアナウンスが流れたスーパーがあったとか、いろいろな噂や事件も起きた。しかし、「だいぶ変わって、住みやすい町になりましたよ」と石川さんはいう。
 特に、外国人問題に積極的な現在の北脇保之市長になってからは、どうしたら外国人市民と日本人市民が手を取り合って仲良く生きていけるかを、真剣に考えるようになったという。
 その成果の一つが、昨年十一月に石川さんを代表に発足した浜松ブラジル協会だ。協会顧問には、浜松市長、浜松商工会議所会頭、国際交流協会理事長らが名を連ねる。地域を代表する日本人が顧問を務めるという形の外国人の協会は、日本でここが初めてだった。
 その後、豊橋ブラジル協会などもでき、ブラジル人側が主導した新しいタイプのコミュニティ組織として注目されている。日ポ両語の情報誌の発行や、イベントの開催。「将来は、日本全国に活動を広げたい」。石川さんの夢はまだまだ広がる。
◎石川さん聖市事務所=11・3106・8034(Dr. Jacksom Kawakami)

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