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レジストロの事情=今高まる農協の役割=(上)=宅配用セスタ販売に課題

9月7日(火)

  ブラジル農業拓殖共同組合中央会(原林平会長)とJATAKサンパウロ事務所(馬場光男所長)が共催する日系農村青年セミナーは、ブラジル農業の将来を担う日系農業青年を対象に講演を通して、農協の重要性を訴えてきた。八月十九、二十の二日間に渡って行われた三回目のセミナーでは、実際に最近活動を開始したばかりのレジストロ農業協同組合を見学し改めてその役割を確認した。同組合設立までの過程と活動状況を追った。
 「レアルの価値が高かったころは肥料も安く楽な経営が出来ましたけど」
 コチア崩壊後、それぞれの農業者は独自に販路を獲得してきたが、九九年のレアル暴落が農業者に打撃を与えた。さらに、貧困対策として政府が農作物の価格を低く押さえたことも影響。中小農業者の間で団結への思いが再燃し始めた。
 「この頃から生産者の間でこのままじゃいかんと話すようになりました」とレジストロ農業協同組合の福澤一興組合長(63)は振り返る。
 同組合は今年六月に設立総会を開いたばかり。活動を開始したのは昨年の四月からだ。扱う農産物は主に野菜。
 セアザに出荷すると消費者の手に届くまでに、最低二つの仲介業者が入るため生産者の利益は下がる。そこで、「少しでも収入のよいものを」と宅配用セスタを始めた。顧客の注文を品物に応じて組合員に振り分け、毎週金曜日に集荷し、その日の内に顧客へバイクで送り届ける。
 できたばかりの同組合では、顧客の多様なニーズに応えるため豊富な種類の野菜を扱い、「新鮮・高級・清潔」をうりに、中流以上をターゲットとし新市場を開拓している。現在、セスタでは約六十の顧客を扱っているほか、最近ではスーパーやレストランなど十五の商店にも卸している。「将来は加工品の販売もしていきたい」と福澤組合長。
 「セスタを通して、各組合員が月に五サラリオ以上の収入を得ることを目標にしている。まだ目標を達成できている組合員は多くないが、辞めた組合員はいない」
 しかし、問題もある。「市場開拓がまだ不十分で、客のニーズもはっきりとつかめていないので、現段階でライバルが現れたら困る」。また、セスタへの注文も百を越えているが、現段階ではその需要にも応えられていない。
 その理由は二つ。現在、組合はコチア産業組合の旧製茶工場の一角を事務所兼作業場としているが、「今の場所では小さい。大きな需要に応えるためには冷蔵庫などの保存施設の必要」と同組合の杉内雅美さん(64)。
 また、組合員が生産する野菜の種類に偏りがあることも原因だ。
 (つづく、米倉達也記者)

■レジストロの事情=今高まる農協の役割=(中)=農村活性目指す市の思惑

■レジストロの事情=今高まる農協の役割=(下)=農協の理想とする姿とは

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