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感涙…30秒間の沈黙=文協大講堂=小泉首相スピーチ=コロニアへ熱い思い=満員1200人も目頭熱く

9月16日(木)

 小泉首相の感涙に、コロニアも涙――。ブラジル訪問二日目となる十五日、小泉首相は日系社会が熱望したコロニア主要五団体との懇談や文協大講堂での歓迎会に出席。日系社会への理解を深めた。特に満員の千二百人の日系人を集めた歓迎会では、首相のコロニアに対する秘めた思いを十分間に渡って披露。途中、十四日に急遽訪問したグァタパラ移住地に話題が及ぶとおもわず感涙し、約三十秒間に渡って沈黙。出席者もおもわず涙する場面も見られた。
 午前十時過ぎにイビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑で献花などを行った後、コロニアの「総本山」ともいえるリベルダーデ区の文協ビルを訪問した小泉首相。「首相が文協でスピーチするのは七四年の田中角栄首相(当時)以来」(網野弥太郎県連元会長)となるだけに、同十一時の到着時には、大講堂だけでなくビル周辺にも日伯両国旗を手にした多数の人が小泉首相を出迎えた。
 上原幸啓文協会長に出迎えられた小泉首相は「純ちゃーん」「小泉さーん」と熱烈なコールに満面の笑み。両国旗を手にした児童らが並ぶ階段を上がりながら、最初にコロニア五団体と懇談した。文協や県連、援協などの代表がそれぞれの活動内容などを説明したという。
 同十一時二十分ごろ、首相を一目見ようと詰め掛けた満員の大講堂に小泉首相が到着すると、拍手で出迎えられた。
 「歓迎 小泉純一郎内閣総理大臣」との横断幕が掲げられた壇上には小泉首相と山崎正昭副官房長官、堀村隆彦大使、石田仁宏総領事が上がった。
 松尾治文協副会長の司会のもと、紹介された小泉首相は二度、三度と両手を上げ、来場者にこたえた。さらに男児と女児から花束を受け取り、一緒に記念撮影した後、来場者が待ちわびた首相の挨拶が始まった。
 深々と一礼した後、「ボン・ジア」の一言で来場者を和ませた首相は言葉を続け「こんなに温かく迎えていただいてオブリガード(ありがとう)」とポルトガル語を交えた挨拶で、来場者の気持ちを一気につかんだ。
 挨拶の中で「私にとってブラジルは外国ですが心情的には一番近い国なんです」とその位置付けを披露。その理由として小泉首相が十代の時に親交が厚かったいとこの井料堅治さんがブラジルに移住したことを説明。「キャッチボールや勉強を教えてもらった。私にとって兄のような存在。いつかブラジルに行ってみたいと思っていた」と明かした。
 約十分間のスピーチは、終始首相の熱い思いが込められていたが、満員の来場者が心を熱くしたのが、十四日に急遽、予定を変更して訪れたグァタパラ移住地の話題に触れた時。「ヘリから地面を見たら、『歓迎 小泉総理大臣』の文字や鯉のぼりが見えた。花束を上から落とすだけでなく、何とか降りたいとパイロットに頼んだ」と予定外の行動をとった胸のうちを説明。「涙をもって迎えてもらった……」と語ると感極まったのか約三十秒間、感涙に咽びながら、スピーチを中断。目頭を熱くした来場者も多数見られ、一気にコロニアと首相との心の距離が縮まった。
 また、四年後に百周年を迎えるコロニアについて「今回の訪問を機に、日伯間の人との絆、日伯の絆を強め、次の百年も大切にしたい」と豊富を語った。
 最後に上原会長の音頭で万歳三唱し、小泉首相を見送った。
 

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