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日伯首脳会談共同声明(2)=08年向け交流増進に努力

9月21日(火)

 ◎両首脳は、二国間の技術協力プログラムの重要性を再確認するとともに、去る五月二十七日及び二十八日に東京において開催されて本件にかかわる第十六回会合の成果を喜んで是認した。両首脳は、二国間及び第三国に関係するプロジェクト及び計画の重要性を強調した。両首脳は、ラテンアメリカ及びアフリカ地域に対する現在の協力努力について満足の意を表した。
 ◎両首脳は、文化面及び人物面での交流が日伯両国民の間の相互理解を増進する上で果たす重要な役割を認識し、その一層の増進に努めることとした。その文脈で、両首脳は、二〇〇八年のブラジルにおける日本美術展をはじめとする記念諸行事のために協力していくことを表明した。また、日本国総理大臣は将来の二国間関係において若い世代が果たす重要な役割を考慮しつつ、ブラジルからさまざまな交流スキームの下で今後五年間で一千人を超えるブラジル人学生及び青年を招聘する旨表明し、ブラジル連邦共和国大統領はこれを歓迎した。
 ◎両首脳は、多国間機関、特に国連及び安保理の実効性・信頼性を、とりわけ安保理の常任・非常任双方の議席の拡大を通じて高めていくことが重要であると理解を共有した。日本とブラジルは、それぞれが正当な国連安保理常任理事国候補であるとの確固として共有された認識に基づき、国際システムの現状に鑑み、来る安保理改革においてお互いを支持し、かかる改革の実現に最大限の取組と、緊密な協力を行っていく。
 ◎両首脳は、八月一日に採択されたWTO一般理事会決定を歓迎した。また、多角的貿易体制の維持と強化が、途上国の開発及び世界経済の発展に不可欠であることを確認するとともに、交渉において柔軟性、建設的精神及び政治的意思を示すことが必要であることを想起しつつ、二〇〇五年十二月の香港における第六回閣僚会議への準備段階において生産的な交渉が行われるよう共に取り込んでいくこととし、また、全ての関連分野における多国間貿易体制への開発途上国の統合を大いに促進する、ドーハ・マンデートの完全な履行という形でのドーハ・ラウンドの成功裡の妥結に向けたコミットメントを再確認した。
 ◎両首脳は、地球環境に対する共通の関心、及び持続可能な開発の推進へのコミットメントにつき繰り返し述べた。気候変動は人類が直面する最大の挑戦の一つであることに言及しつつ、両首脳は京都議定書の発効の重要性を強調するとともに、京都議定書を批准していない全ての気候変動に関する国際連合枠組協約の締約国が、時宜を得た形で同議定書を批准するよう主張した。両首脳はまた、特に九月十五日及び十六日に東京において、日伯共同議長による二度目の開催となる非公式会合「気候変動に対する更なる行動」といったイニシアティブにより、環境問題に関する二国間協力が強化されていることに満足の意を表明した。
 両首脳はまた、三つのR(REDUCE―廃棄物の発生抑制、REUSE―再使用、RECYCLE―再生利用)の重要性につき議論し、日本国総理大臣は二〇〇五年四月に我が国で開催される3Rイニシアティブ閣僚会合にブラジルを参加招聘し、ブラジル連邦共和国大臣はこの招待を考慮することとした。
 両首脳は、地球温暖化防止対策の一環としてバイオ・エタノールを含む再生可能なエネルギーへの関心を共有した。
 ◎両首脳は、軍縮並びに大量破壊兵器及びその運搬手段の不拡散という目標へのコミットメントを再確認した。両首脳は、とりわけブラジルが議長を務める二〇〇五年のNPT運用検討会議において、条約の履行に貢献する成果を得るべく、この目的のために協力していく意向を確認した。
 ◎両首脳は、世界の貧困対策、テロ対策及びその他の重要な国際問題について、これらに民主的且つ公正に取り組んでいくために議論した。
 ◎両首脳は、両国の基盤にある民主主義、人権及び自由市場の理念について共有されたコミットメントを再確認し、首脳会談を終了した。

 

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