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コラム 樹海

  アジアからヨーロッパに広がる広大なモンゴル帝国の始祖チンギス・ハーン(成吉思汗)を祭った霊廟の遺跡が見つかったという。あのユーラシアを駆け巡り大帝国を築いた英雄の祖先は蒼き狼と美しい淡紅の雌雛だったと「元朝秘史」は伝えるが成吉思汗についての謎は多い。墓所が不明なのも世界史の不思議とされるが、どうやらやっと解決しそうな手掛かりがつかめたようだ▼中国やエジプトとは異なりモンゴルの遊牧の民には墓域を盛大に飾るの習慣はないらしく、秦の始皇帝のような広大な陵はないとされる。あの国の土地は一度深く掘り起こすと草が生えにくくなるための生活の知恵が、陵墓のような建設を拒んだのかもしれない。成吉思汗もだが彼の後継者の墓も一つも見つかっていないそうだが、この謎めいた自然流がいかにも遊牧の国・蒙古らしい▼この国と日本は関係が深い。義経は奥州の衣川で戦いに敗れ妻らと自刃して果てるけれども、あの壇ノ浦の司令官を死なすわけにはいかない。そこから義経は海を渡り成吉思汗になったの伝説は今に語り継がれる、だが、第一はやはり文永・弘安の役であろう。モンゴル帝国の第五代の「汗(カン)」になり中国を征服して「元」を打ち立てたフビライの日本襲撃である▼鎌倉幕府を震撼させた戦いは苦戦のすえに辛勝するが、日本からの調査団が世界の大英雄・チンギス・ハーンの霊廟遺跡を発見したのは嬉しい。まだまだ謎はいっぱいあるが、歴史解明への大きな前進であり貴重な一歩であるのは間違いない。 (遯)

04/10/7

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