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ペット老化現象=人間並み=「鍼治療」流行る=飼い主の間で人気上昇中=〃専門獣医〃まだわずか

10月16日(土)

 痴呆、寝たきり、難聴…。動物だって年を重ねれば、老化現象が現われてくる。サンパウロ市内では、ペット向けの鍼治療が人気急上昇中だ。高齢化に悩むのは、何も人間世界だけではない。
 シェパードの雄犬ルキは、今年十三歳。人間に換算すれば、七十五歳くらいに当たるという。腰が弱くなり、ここ一ヵ月半寝たきりの状態が続く。尻部には床擦れで出来た傷口が広がり、痛々しい姿だ。尾の近くには、がんと思われるできものもある。
 「尿をもらしてしまうと、自分の舌で舐めて掃除しようとするんです。最近、体重もかなり落ちてしまって…」。飼い主の日本人女性は、心配そうに見守る。家族が体に触れようとして、怒り出すことも。掛かりつけの獣医に紹介されて、鍼治療を受けることにした。
 清水エリザベッテさん(獣医、二世)は、この道十二年。「昔、ウイルスの病気が流行って、神経痛や歩行困難に苦しむペットが増えた」。それを解決する手段として鍼を思い立ち、中国上海で半年、日本で足掛け三年ほど留学・研修した。
 往診をしてくれるので、ペットの移動に悩む必要がない。前述の女性も今月十二日午後、自宅で清水さんの来訪を待った。
 打つ鍼の本数は、病気によって二十~三十本。時間にして、約二十分間の治療だ。そのほか、介護の方法や薬の飲ませ方などについても、みっちりと指導してくれる。
 高齢化や肥満、運動不足などが原因で、腰を痛めるペットが増加。「動物も人間に近い生活をするようになりました」と、清水さんは話す。
 往診の日は一日に八~十匹、診療所の日は二十匹ほどみる。個人の診療所は持っておらず、獣医らを通じて治療している。診察件数は毎年三〇%の伸びだ。「毎日、忙しくてたまりません」。サンパウロ市内でペット専門に鍼をする獣医は、十人を超えないという。
 この日、初めて鍼治療を受けたルキは治療後、静かに眠りについた。

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