ホーム | 日系社会ニュース | 岐阜県農業高校実習生OB再来伯=今、生徒に教える身=ブラジルの農業教育を学びに=「今していることを好きになれ」=日本人農業者の一言が人生観かえた

岐阜県農業高校実習生OB再来伯=今、生徒に教える身=ブラジルの農業教育を学びに=「今していることを好きになれ」=日本人農業者の一言が人生観かえた

10月19日(火)

 「滋賀県若手教員海外派遣事業」で来伯中の中野輝良さん(31、滋賀県立長浜農業高校教諭)は、ブラジルの農業教育について見聞を広めるべく、リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ市の専門教育管理機関(SUEPRO)、州内の農業高校、日系農家などへ出向き、研修生活を送っている。二度目のブラジルだ。最初は、農業高校生時代,実習で来ている。当時、日本人農業者に言われた一言「今している仕事を好きになることこそ大事なんだ」―で人生観が変わり、教師として生徒たちに接する自信となっているという。

 中野さんは十三年前、高校生三年生のときにも第十四回岐阜県農業高校生海外実習派遣団の一員としてブラジルを訪れている。
 二度目となるブラジルでは、大規模農業や日系農業移民の苦労をもう一歩踏み込んで学ぶことができた。日伯の農業高校の違いにも気付く。ブラジルの農業高校は寮に住み込み、農業と一体化した教育をしており、「即戦力、職業力をつけることに長けている」という。日本は農業技術を身につけることよりも農業を通して人格形成することに重点が置かれている。 
 教師になって八年目を迎えた中野さんには、日本の生徒たちの多くが自信を失っているようにみえる。「動植物は手をかけた分だけ立派なものができる。動植物を育てるなど何かをやり遂げることが自信に繋がるのでは」と話す。
 中野さんも自分に自信を持てずに悩んだ一人。しかし、農業高校に入り、ブラジル実習を体験したことで人生観が変わった。日本人の農業移住者に言われた一言はいまでも忘れられない。「好きなことをするんじゃなくて、今している仕事を好きになることが大事だ」。
 農業移民が持つチャレンジ精神や自分の道を自分の力で乗り越えていく強さを生徒に伝えていくつもりだ。また、知識の詰込みだけでなく一人の人間としての自身の生き方を感じてほしいと考えている。そのためにも「一教員として、一人の人間としての自分の姿を見てもらいたい」と話している。

image_print