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第1回海外日系文芸祭=放送協会会長賞を受賞=高校生歌人上原クレイルトン君に期待=聖市生まれ在日6年=12歳から日本語理解

11月25日(木)

 【既報関連】第一回海外日系文芸祭(主催海外日系新聞放送協会、海外日系文芸実行委員会)が十月三十一日、JICA横浜国際センターで開かれた。短歌部門・学生の部で、ブラジル日系人、愛知県立衣台高等学校二年生の上原クレイルトン君の作品が、海外日系新聞放送協会会長賞を見事に受賞した。
 春の夜桜の花びらおちてゆきボクの心もどこか悲しい

 短歌部門の選者、細江仙子さん(中部短歌会同人)は選評で、同作品について「『春の桜』は、きれいに咲いて散っていきますけど、『夜の桜』は、本当に音もなく、スーッと地面に下ります。作者はその風情に、ふっと悲しいという気持ちがわいたのでしょうが、それが、なぜか自分もわからない。それが『どこか』という表現になったのではないでしょうか。若いですけど、とてもデリケートな心の持ち主ではないか、と思いました。若い人たちが、私たちの持っていないあの感性に歌っているということは、当に素晴らしいと思います」と語った。
 上原君は、「今日はきてよかった。日本に来て六年ちょっとです。もう少しで七年になります。はじめてで、言葉がうまく使えなく、余り字とかがたくさんでて……」と、その喜びとその苦労を語り、会場からは大きな拍手がわいた。
 同協会高木ラウル会長から賞状を受け取った。
 上原君は九歳のとき来日。
「サンパウロ出身で父は二世です。家族五人で日本にきました。ぼくは三番目です。日本語は全然ダメでした。十二歳のころから日本語がわかるようになりました」。
 愛知県豊田市東保見小学校五年生に入り、同市保見中学校に進んだ。同校には、日本人の生徒と共に生きることを目的とする「国際教室」があり、ブラジル人をはじめペルー、フィリッピン、中国出身者らが学んでいる。
 中学卒業後、衣台高校へ進学し、短歌に出会った。
 記念シンポジウムでパネラをつとめた長澤重夫氏は、「この歌は、すごく上手です。高校生は子どもではないかも知れないけれど、子ども離れしていると私は思いました。事柄を述べて心を述べるのが歌だと思います。きちんと上の句で事柄を述べ、下の句で心をあらわしているし、そういうことでとてもいいなーと思いました」と、同作品を高く評価をした。
 また同文芸祭の選考委員長をつとめる小塩卓哉は、「私は教育委員会におりまして、昨年まで外国人児童生徒講座というのをやっていました。上原君の学校も担当していました。今後もぜひつづけてください」と、上原君の今後に期待した。
 衣台高等学校で上原君の担任である大橋健二先生は、「今年の新学期にはいり、国語で韻文の授業がありました。まずその授業で国語担当の教師が指導してくれました。今回の文芸祭に応募することで、外国人生徒たちは少し残り、指導をうけました」。
 愛知県の三校の高校には、外国人枠があり、同校二年生には二人のブラジル人と一人の中国人がいる。
 国語を教えている大橋先生は、上原君の作品について、「自分の気持ちよく表現できたと思います。春先の不安と、ばく然とした来に対する不安みたいなものをからめ、考えさせられる歌になっています」と語る。

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