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コラム 樹海

  きのう十二月八日は日本が対米英戦争を始めた日である。海軍の淵田美津雄中佐が指揮する爆撃隊が真珠湾を攻撃し太平洋艦隊に大きな打撃を与えた話は今に伝わる。あのハワイ急襲には小型潜水艇も参加し活躍したのだが、残念ながら余り知られてはいない。海兵卒の酒巻和男少尉も、この「特殊潜航艇」に乗り出撃したのだが、艇に故障が起き米軍の反撃などもあり、捕虜第一号となった▼酒巻氏は戦後にブラジル・トヨタの社長を務めたりしコロニアとは馴染みの深い人だが、捕虜の話は避けていたように思う。が、こんな話も歴史の彼方に追いやられてのことか、ある大学の教授が学生に「真珠湾は何処にあるか」と質問したらウーンと頭をひねってから「三重県です」と答えたので―さすがの教授も「唸ってしまった」そうである。なるほど、真珠は三重だけれども▼この真珠湾攻撃については日本側の宣戦布告を米国政府に手渡す前の軍事作戦であったので今でも多くの論議が行われているが、謎は深まるばかりなのである。駐米日本大使館の担当者だった外交官の怠慢説が有力なのだけれども、これもきちんとした定説とはなっていないようようだ。兎にも角にも、この先制攻撃で大東亜戦争は始まったのである▼歴史を繙けば別の十二月八日もある。雪山で修行中のお釈迦さまがこの日の未明に悟りをひらいたとされ、禅宗では臘八接心と言い一日から不眠不休の坐禅をし八日の朝には熱い粥を啜るそうだが、いったいどうしてこの「悟りの日」を開戦の日に選んだのか―と謎も深まる。 (遯)

04/12/9

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