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デカセギ問題減らしたい=愛知県の業務請負会社長がNPO=労働法などポ語で紹介=「もっと賢くなって」

12月22日(水)

 「同業者と言われるのが恥ずかしいような酷い事をする派遣会社がある。なんとかしなきゃと思ってこのNPO(非営利団体)を考えた」。愛知県一宮市の業務請負会社アバンセコーポレーションの林隆春社長が六日午後、来社。このたび立ち上げた「J WORK」NPO交流ネットについて語った。デカセギ自身に賢くなってもらうため、日本の労働法や労災、社会保険の仕組みなどをポ語で説明するホームページ(サイト)も開設しているという。

 「百円でも時給の良い所へ移る労働者は後を絶たないが、時給が高いということの意味を知ってほしい」と林社長は強調する。
 親会社は子会社に経費圧縮を指示したことを受け、日本人正規採用から外国人派遣労働者へ代える。それだけで、人件費は三割下がるという。その三割を五割にまで下げることは、本来、法律で労働者に保証している経費まで削らないと難しい。「つまり今の日本では、企業のコストダウンのつけを払っているのが日系人という仕組みになっている」という。
 日本の労働界は、上から日本人を中心とした「上流」、日系人を中心にした「中流」、東南アジアからの研修生や無資格労働者を中心とした「下流」があると、林さんは解説する。
 上流はメーカー直接の一次下請けだが、下へ向かっていくと二次、三次、四次になり、条件は悪化していく。下ほどコストダウンの歪みが酷く、悪い扱いを受けるという。
 「日本では〇六~〇七年に団塊の世代がまとまって定年退職する。その下の層は百万人も人口が少ない。つまり〇七年以降、確実に労働者が足りなくなると予想されている訳です。正規の労働者である団塊の世代が定年した後は、非正規の外国人で補填し、コストダウンを図ることが十分考えられる」と予測する。
 さらにデカセギ問題が激化する恐れがあり、「問題を解決するには、デカセギの人自身に賢くなってもらうしかない、と思ったわけです」とNPOを立ち上げた背景を語った。専従職員を二人雇う同団体の経費は、「私の道楽でやっています」という。
 将来的には「メーカーと日系の労働者を直接つなぐようなシステムをサイトの中に作りたい」と語り、デカセギ業界に波紋を呼ぶ革新的なアイデアを披露した。「できるだけ中間マージンを減らすことがこれからの有り方だと思う。本来、人材紹介は、デカセギからでなく、企業からのみお金を貰うべきなんです。働く人にとって、もっと透明性が高い紹介システムが必要なんです」と熱く理想を語る。
 「このままでは日系社会全体にとって不幸なことになる。少年院が日系人だらけになって、日系人排斥運動もおきかねない。もっと全体を考えて動く人が何人も出てこないと」。
 ※交流ネットのホームページアドレスwww.jwork.info/

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