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コラム 樹海

  アマゾン上流、サンパウロから三千七百キロの地、ポルト・ヴェーリョ(ロンドニア州州都)にあるニッケイ・クラブが「古いものでいいから剣道用具がほしい」と希望している。クラブ経営の日本語教室(成人含む)の受講生五十人が、剣道稽古に目覚めたのである▼火付け役は日本語教師二代目の盛岡歩美さん(女性、JICA派遣青年ボランティア)だった。盛岡さんは、剣道初段、竹刀を携行して赴任した。来る三月任期切れで帰国する。在任中「日本文化」の形あるものに触れたいという生徒の気持に応え、竹刀の素振りを教えた。生徒たちがこれにはまり込んで、熱中することになったのである▼クラブ元会長の田辺俊介さんによれば、日本文化はビデオテープ、展示品などによって「見ること」はできる。だが、体験、実践できるものは、ポルト・ヴェーリョではほとんどない。おりから〃サムライ・ブーム〃、日本語教室の生徒たちが、青年ボランティアの剣道に魅せられたのはよくわかる▼田辺さんは、せっかく出た剣道の芽を枯らすまいとしている。サンパウロから講師を呼んだり、生徒代表を研修に出そうとの意向だ。JICAの決定によって、近く三代目の日本語教師が着く。日本語教室継続への支障の一つは消えた▼次ぎにサンパウロからたとえ三千七百キロ離れていても「剣道がある」という実績をつくりたい。今のところ、高価な剣道用具購入には手が届かないので、中古品の寄贈を、と訴えているのだ。(神)

05/1/19

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