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初めての3線合同研修会=移民多いノロエステ、パウリスタ、ソロカバナ=日本語教師が切磋琢磨

1月27日(木)

 多くの日系移民が入植したことで知られるサンパウロ州のノロエステ、パウリスタ、ソロカバナの三線沿いにある日本語学校の教師ら約六十人による合同研修会が、サンパウロ市から西へ六百キロにあるアラサトゥーバ市(ノロエステ線)で二十、二十一日の二日間にわたって行われた。主催したのは各線で中央組織的な役割を果たしている、ノロエステ日本語普及会、汎パウリスタ日本語普及会、ソロカバナ日本語普及会。普及会毎の研修会は行われてきたが、合同での研修会が行われたのは初めてのこと。教師の実力向上が日本語学校の発展に欠かせないとの考えから研修会では外国語としての日本語教育の指導法が講義される一方、後継者教師の不在や、日本語離れの進む日系子弟をいかに巻き込んでいくかにも参加者の強い関心が見られた。

 同研修会の開催には資金や講師派遣でサンパウロ市の日本語普及センター(谷広海理事長)が協力している。ブラジルでの日本語普及の拠点となっている同センターでは日本語教育発展のためには教師のレベルアップが欠かせないと、地区毎の教師研修会開催を各地の日本語学校へ呼びかけてきた。今回の合同研修会開催はこの呼びかけに応えた形だ。
 開会式でノロエステ日本語普及会会長の末永建郎さん(60・一世)は「研修会の目的は先生方の実力向上。先生方の実力に生徒の増減がかかっています」と激励した。
 一方、パウリスタ日本語普及会の沢木茂部長(70・一世)は「日本語を教えるだけというのはどうかと思う。日系人のよいところを持ち続けてこそ、日系人はブラジルに貢献できる」と、日本語教育と同時に日本人の精神も伝える必要性を訴えた。
 この日は富山県派遣音楽教師の島田裕次郎さん(26)の発声指導に始まり、JICAシニアボランティアの井上由己子さん(62)が東京日本語センターで使用されているゲーム感覚の教授法を講義、また現在製作中という簡単な日本の歴史教科書(ポ語)を紹介した。「日系・非日系関係なく、日本の精神を伝えるために歴史を教えます」と井上さん。
 その後、参加者は上級者向け指導者と初心者向け指導者の二組に分かれ、同センターの松酒早苗講師(36・二世)らによる指導を受けた。松酒講師は生徒の関心をひく為に遊びを取り入れて教えることの必要性を語った。こうした教授法は地方ではあまりなされていないことから、「そんなのは時間の無駄じゃないか、という声もあって、指導者にもこうした教授法の面白みを教える必要があることを感じました」。
 夜は末永さんの家で懇親会が行われ、フォークダンスなどを通して友好を培った。その様子を眺めていた塙紀子さん(60・二世)は一年半前からバウルー日語校で教師をしている。「教師が足りなくなってやることになりました。でも、父や母が言っていたようなことを生徒に伝えていきたい」と語った。
 翌日も二組に分かれ講習会が行われ、上級クラスの方では『ブラジルにおける日本語教育』『コンピューター活用による日本語教育』のテーマで富山県高岡市派遣高校教師の角谷壮健さん(38)ら、日本から派遣されている教師による講演も行われた。ミランドポリスで教えている角谷さんは「生徒数が減っていることを危機に思っています。日系子弟は多くいるのに、その三分の一から四分の一しか学校に来ない」と語り、その対策として「幼稚園の時から日本語を教えることで、日本語の勉強を生活の一部にしてしまうこと、授業の中で生徒に明確な目標を与える必要がある」と力強く語った。
 研修会では日本から派遣されてきた若い教師たちの活躍が目立つ一方、そのことが後継者不足を印象付けてもいた。
 反省会で末永会長は「今回は先生方の意見を取り入れずにプログラムを進めたところもあったが、(次の研修会では)先生方の意見を聞いていきたい」と研修会を続けて行く方針を明らかにした。
 バストス日語校の相原清志さん(69・一世)は「それぞれの先生の話が有意義で、目から鱗の話がきけました。これがいかされるかどうかは今後の自分次第」と感想を語った。
 続いて行われた閉会式でJICAシニアボランティアの山田浩さん(52)は、懇親会でビリグイ日本人会の子どもたちが太鼓を演奏したことに触れ「この光景を見て若い世代が育っていることを感じました。日本語教師をすることに迷うことがあっても、これを確信してほしい」と参加者に励ましの言葉をおくった。

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