金利引き上げ継続を示唆=中銀=2月と3月にも=国内需要予想以上に伸びる=専門家、公債膨張を懸念
1月29日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】中央銀行の通貨政策委員会(COPOM)は二十七日、議事録を発表し、一月の基本金利調整に続き二月と三月も同金利の引き上げ実施を示唆した。この議事録は〇五年上半期には事実上、基本金利の引き下げがないことを通告したもの。もしインフレ率が目標値を超える場合、金利の引き上げ加速化もあるとした。二〇〇四年に消費市場回復のためローンを緩和したことで、需要が予想以上に伸びたとしている。
産業界が期待した〇五年上半期の基本金利引き下げは、事実上葬られたようだ。インフレが予想を上回る場合は、基本金利の引き上げ加速化もあると同委員会は示唆した。
同委員会の採用する景気判断基準が現在の景気動向を測る上で妥当かどうか、同委員会も疑問を抱いているようだ。原油高騰の影響による企業収益ばかりでなく、二期目のブッシュ政権と世界経済の回復も動向判断の要因に加わった。
需要の回復は、高金利によるインフレ抑制を上回る勢いがある。景気回復期にある企業と金融機関への対処法について、中銀は手綱の絞め方に十分な経験がない。〇三年と〇四年は景気を刺激し市場活性化を図ったが、現在は市場自身がインフレを育てている。
〇四年に始めた消費回復を目的としたローン緩和は、国内市場の需要喚起に弾みを付けた。中銀が金融引き締めを始めた〇四年第4・四半期でも、銀行は四・二%増のローンを供与した。国内市場の回復と増産に向けた企業の設備投資の増加を、中銀は見ていなかったようだ。
メイレーレス中銀総裁は、持続可能な景気回復と経済安定のため中銀が事前策を採ったという。高金利政策はインフレ次第だとし、どこが折り返し点か総裁も暗中模索らしい。高金利政策を継続することで、政府が抱える債務に過重負担が掛からないかと、世界経済フォーラムで世界の経済専門家から指摘された。
総裁は、「私は腹話術師ではない」と述べた。中銀の通貨政策は、ブラジル経済の成長と安定を保証するものだとしたが、金利と財政負担の限界については詳細を語らなかった。
高金利政策による外資導入と公共債務の決済は、いたちごっこだと専門家の指摘があった。金利引き上げで債務は膨張する。決済の資金捻出のため金利を引き上げて、外資を呼び込むのは悪循環だという。
経済成長率を五%に保ち、実質金利一〇%で上出来というのが専門家の助言だ。実質金利一二%以上で経済成長を唱えるのは、掛け声に過ぎないという。
ドル安の現在、基本金利は一二%で妥当だというのだ。インフレ抑制のために金利を引き上げなくても、ドル安で歯止めは掛かると専門家はみる。金利引き上げの継続は賢明な政策ではないと提言した。
目標インフレ率を固定するのも野暮。自分でなった縄で中銀を縛ったまま、経済発展を図るのは余りに窮屈ではないか。ブラジルはドル安で輸出停滞の現在、海外市場に代わり通貨政策による国内市場強化に努めてはどうかという進言だ。