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ポ語で書かれた「墨絵」紹介書=新里敏子さん解説・出版=「完璧」と指導した左藤さん=移民史料館へ贈る

1月29日(土)

 ポ語で書かれた初の墨絵の解説書「Arte Milenar Japonesa Sumi-e Sato」を、墨絵画家の左藤嘉一さんが、二十七日午後、ブラジル日本移民史料館へ寄贈した。同書は、左藤さんの指導法を、教え子の新里大石敏子さんがポルトガル語で解説、出版したもの。

 敏子さんは、父・大石喜七さんの「自らの財産を日伯文化交流に役立てたい」という遺志を継いで、大石さんが所有していたリオデジャネイロ州イタグアイの土地を処分し、同書を出版した。
 墨絵の歴史、必要な道具類、筆法などから「四君子」と呼ばれる伝統的な練習法まで、挿し絵つきで丁寧に書かれている。「四君子」とは、蘭、竹、梅、菊の総称。これらの植物を描くことによって基本的な技術を修得する練習法は、約千二百年前から行なわれているという。
 全くの素人だった新里さんを十年かけて指導し、同書出版にも協力した左藤さん。「一人の生徒を育て、物にした感覚で本を作っている。日本の墨絵を完璧に紹介した本はないのでは」と話している。
 同書を受け取った大井セリア館長は「ポ語で日本文化を扱っているので、日本文化や移民の歴史を調べに来る学生たちにも役立つはず」と語った。
 新里さんは今後、同書を英訳して出版したいと話しているという。また、左藤さんは映画製作の経験を生かして、解説ビデオ付きの墨絵解説書を作りたい、と考えている。

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