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東日本大震災=「必ず復興を成し遂げる」=約5百人が文協で祈り=多数メディアが取材に=嗚咽こらえる出席者も

ニッケイ新聞 2011年3月18日付け

 今月11日に発生した東日本大震災からちょうど7日目にあたる17日午前、日系5団体は合同で「震災犠牲者追悼ミサ」を文協大講堂で営み、州、市、コロニア、各国の在聖総領事、赤十字、国内外のメディア関係者ら約500人が犠牲者の冥福を祈った。義捐金も集められ、42人が協力した。沈痛な面持ちの出席者のなかには、悲しみのあまりハンカチを握り締め、嗚咽をこらえる姿もあった。

 一分間の黙祷が行なわれ、主催団体である日系5団体の代表者とともに壇上に立った在聖総領事館の大部一秋総領事は、「ブラジル社会の各方面からお見舞いの言葉を頂いている。この戦後最大といわれる災害は、日本人に対する挑戦であり、日本が立派に復興を成し遂げると信じている」と力強く話した。
 東本願寺の菊池顕正、日伯司牧協会の暮林パウロ、ブラジル日系キリスト教連盟の長田光夫の各氏が祈りと鎮魂の言葉を述べた。
 犠牲者の冥福と一日も早い復興を祈りつつ、出席者らは祭壇に向かって長い列をつくり、白い菊を手向けていた。
 「冥福を祈るだけです」ー。モジ市イタペチ区に住む芳賀七郎さん(77)の郷里は津波で甚大な被害を受けた宮城県の南三陸町。地震発生から連絡がつかなかったが、ミサのあった17日午前6時に、仙台に集まった親戚から初めて電話があった。
 兄の新平さん(85)と妻ときわさん(83)が遺体で発見され、同じく兄の利平さん(83)がまだ行方不明であることを知らされた。
 「人口1万人のうち8千人が行方不明っていうんだから、意外に少ないと思った。兄貴らは家にいて逃げ遅れたようです。若いものがおればよかったけど、みんな仕事しているから…」と声を落とした。
 03年に文協コーラスで訪日、仙台のグループと交流した三木マリエさん(63)は、「仙台の人にはお世話になり、思い出もある」と話す。
 団長だったことから、その後も交流は続き、今回メールでやり取りするなかで友人らが避難所にいることを知る。
 「家を出るとき今日のミサに出席すること伝えると喜んでいました」と話しながら、被災者らに平穏な日々が来ることを願った。

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