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コラム 樹海

 亡国の病気と称された結核が、このところ増えている。昭和の30年代頃まで大いに流行し多くの青年らが倒れたし、ブラジルも同じような状態であった。カンポスにはサナトリオが建設されて「道庵さん」と親しまれた細江静男医師らが大活躍し罹患した移民たちを救った記憶は今に語り継がれる。もう一つの病魔がマラリアであり、これもまた世界的に激増している▼日本人移民の歴史は、この病気と共に歩んだといっていい。平野運平の植民地やトメアスーなどはマラリアとの闘いであった。蚊が媒体するマラリアがラオスやタイなどのアジアとサハラ以南のアフリカ諸国などに蔓延している。WHOはこれらの地域で年間に3億人から5億人の患者がおり、200万人の死者と報告している。あの辺りにはエイズも多く、このままでは国が滅びるの危険すらある▼罹患すればキニーネが決まりだったが、今は新しく開発された薬品も多い。が、最大の防御方法は、蚊に食われないことである。古臭いと批判されそうだけれどもあの「蚊帳」が大いに効果があるらしい。19日付けの本紙一面に「日本がアフリカに蚊帳800万張り」の一段があったが、これはきっと皆に大喜びされるに違いない▼日本の計画では07年までに1000万張りを提供し4000万人の住民をマラリアか守ろう―と遠大である。この「蚊帳」をきっかけとし―新しい支援のスタイルが生まれるといい。ダムの建設もいいけれども、もっと地道で村の人々と繋がるODAがあってもいいのだから。 (遯)

05/2/24

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