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コラム 樹海

 先週の続編のようなかたちになるけれども、ライブドア社長の堀江貴文氏の動きは、どうも解り難い。ニッポン放送の買収劇である。既に発行株式の40%超を買ったとされ、これからも50%突破まで買収を続けると強気の姿勢を崩さない。無論、本当の狙いはフジTVであり産経新聞も視野に入っているのは間違いない▼米の大手証券リーマン・ブラザーズ会社から800億円の資金を調達しているのだから堀江社長の考えは「サンケイグループ狙い」と見ていい。ニッポン放送の株式は公開されているのだから、株を欲しい人は誰にでも買えるし、その権利もある。堀江貴文氏は「活字メディア」に大変な魅力を抱いているらしい。産経新聞の編集をも厳しく批判し「エンタメ(娯楽)中心にしたい」と意欲満々▼堀江氏が、どのような方針であろうとも、それはご自由でありとやかく申しません。ですが、産経新聞は、読者の多い論説「正論」が看板であり、一般の記事も進歩的思想からは遠く「意見を述べる」ユニークな新聞である。とてものほどに―「エンターテインメントを軸にした」は無理ではないか。もし娯楽中心になれば、今、産経を愛読している人々は必ず離れて行くのは必定である▼ただ単に「カネがあるから―」とマスメディアを買ったり売ったりするのは如何なものか。この辺りのことをどう考えているのか―である。堀江社長は、新株予約権の問題で「差し止め請求」を求め提訴しているが、この法廷闘争は日本のマスコミ界に新たな難問を突き付けているような気もする。 (遯)

 05/3/1

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