ホーム | 日系社会ニュース | ランシェにスープをどうぞ=味の素「ヴォーノ」販売へ

ランシェにスープをどうぞ=味の素「ヴォーノ」販売へ

3月10日(木)

 ブラジルでランシェ(軽食)時間にスープを飲む習慣を定着させたい――。新市場の創造と事業拡大を目指して、個食用スープ市場でシェア世界一の味の素(江頭邦雄社長、本社=東京都)は、味の素インテルアメリカーナ(酒井芳彦社長、本社=サンパウロ市)において、個食用スープ「VONO」(ヴォーノ)の生産販売を始めた。
 八日午前、サンパウロ市内ホテルの新商品発売を記念した記者会見で、三浦勁(つよし)本社取締役常務は「世界中の人々の食習慣に新たな貢献をさせてもらうことを目標に、世界統一ブランドとしてVONOを投入します」と宣言した。
 個食スープを飲む習慣のない中国やタイなどで、二年前から市場を開拓していた味の素。二年がかりで試食調査を重ね、コーン&クルトンや、チーズ&トマト&バジルなどブラジル人の嗜好にあう七種類のクリーミー名な味を開発。今年二月からサンパウロ市郊外のリメイラ工場最新設備で生産を開始している。
 今月中には全伯のスーパー店先に並ぶ予定で、一個一・二五レアル程度で販売される。厳選された野菜素材などから作った顆粒状のスープをマグカップなどに入れ、熱湯を注いで十五秒間かき混ぜればできあがり。コッシーニャ一つ約五百五十キロカロリーと比較すれば、VONO一袋で約九十キロカロリーは少ない。美味しさ、手軽さ、健康が売りだ。
 同社調べではブラジル人一世帯あたり年間百四十回のスープ飲用頻度があるが、個食用スープの購入世帯はまだ全体の二%程度。夕食時のこってりした本格スープでなく、ランシと呼ばれる夕食前の軽食に適した軽めのスープを開発することにより、オフィスや家庭内需要を呼び起こそうというもの。
 現状のスープ市場規模は一億八千八百万レアルという。同社はすでに「SAZON」などでの調味料分野でトップブランドになっており、全伯に小売販売網を持っている。とはいえ、今回の商品は五年後の二〇一〇年に一億レアル(約三十九億円)の売上げを目指しており、まさに新市場の創造を見越した意欲的な目標設定と言えそうだ。

image_print