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アガリクス販売停止=厚生労働省要請=ブラジルの生産者に=深刻な影響及ぼしそう=今後の展開を見守ろう=対応策考える業者ら

2006年2月15日(水)

 【既報関連】中国産アガリクスの一部製品から、発がんを促進する作用が認められたとして、厚生労働省が日本の販売会社に販売停止と自主回収を要請した件は、ブラジルの生産者らに深刻な影響を及ぼしそうな勢いになっている。日本市場に占めるブラジル産の割合が大きいため。関連業者は固唾を飲んで、今後の展開を見守っている。アガリクスをめぐっては、昨年薬事法違反で逮捕者が出た結果、出荷量が急落。今回の厚生省の処置が、追い討ちをかける形になりそうだ。製品からアガリクスを抜いたり、新商品開発に目を向けるなど、生き残りをかけた対応策が練られ始めた。

 「おたくの製品に、問題はないのか?」
 アガリクスについての報道があった後、MNプロポリスグループ(モジ・ダス・クルーゼス市、松田典仁社長)に、日本の販売代理店から問い合わせが相次いだ。
 同社はアガリクスを錠剤化した健康食品を輸出しており、代理店が安全性を確認したかったためだ。槍玉に上がったのは中国産。しかし消費者からみれば、ブラジル産も同じアガリクスであることに変わりはない。
 「ブラジル産は、中国産に比べて味もよいし、香りだって違う」と松田社長。安全性の試験などについて代理店に説明して、自社製品の信頼性を納得してもらった。
 「中国産とブラジル産を同じ土俵で比べてほしい。そうすれば、ブラジル産の特徴が際立つはず」(同社長)。
 ヤクルト商工の飯崎貞雄副社長は「ひどいことになった。へたをしたら、壊滅に近い状態になるかもしれない」と不安を募らす。 同氏に入った情報によれば、厚生労働省が実施した試験はアガリクスを医薬品とみなしたもの。即効性の有無が、テストされたのだという。
 「アガリクスは健康食品で、薬ではありません。やることが、メチャクチャですよ。もし同じ試験をブラジルでやったら……」と唇を噛む。アガリクス関連が崩壊してしまうと言わんばかりの口調だ。
 ブラジル産の健康食品といえば、プロポリスを始め、紫イッペー、ウーニャ・デ・ガットなど様々な商品が考えられる。つまり、アガリクスが不調でもほかでカバーできるかもしれない。
 が、アガリクスはほかに比べて単価が高い。それゆえに、深刻な状態を起す恐れもある。ムラサン健康食品の店主村山正人さんは「アガリクスだけが売上げから抜け落ちても、商品一つの額が大きいから」と眉をしかめた。
 日本からのアガリクスの注文も今のところ、以前と同じように入ってきている。ただし、何年も飲用している常連。新規顧客を獲得するのは困難な状態だ。
 日本の報道によれば、厚生労働省は食品安全委員会に販売停止の可否を諮問。ほかの二社の製品についても意見を求める。ブラジルの生産者らは、結論が気にかかるところだ。それによって、生産の増減も左右されるだろう。
 グリーン・フーズ社(アルジャー)の平尾健代表は「アガリクスは、もう古くなってきたのでは。そろそろ次を考えていきたい」と明かし、新商品の開発に目を向けていくつもり。アガリクスについては、日本以外への輸出促進やブラジル人への普及に力を注いでいきたいという。
 MNプロポリスグループは、自社製品に含まれるアガリクスをほかのものに代替させていくことについて検討を始めた。松田社長は「また安全に関する試験などをして、市場に出すとなると、半年から一年かかってしまいます」と対応に追われている様子だ。

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