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文協役員選挙=候補乱立、祭り模様=注目の高等審は30日

3月19日(土)

 これ自体が五十周年のお祭りの一部?――とも、いえそうな文協役員選挙の最近の盛り上がり具合だ。小川彰夫派、横田パウロ派、谷広海派、さらに下本八郎元州議も会長に立候補するとの噂も流れている。これほど巷で文協が話題に上がったことは近年まれ、珍しいと、当の団体職員までが驚く。初めての選挙となりそうな四月十六日の定期総会に向け、それぞれの陣営は水面下でいろいろな活動を行っている。取材の及ぶ範囲内で、今後予想されるシナリオを追ってみた。

 最も今後の〃政局〃に影響を与えそうなのは、三十日に予定されている文協の高等審議会(植木茂彬会長)が、どのような助言を理事会に対して下すかだ。
 十五日既報のように、野村丈吾元連邦下議は十二日に行われた百周年の説明会で、誰も予想していなかった折衷案を提案した。上原体制を二〇〇八年まで存続させるが、その代わりに、ヴィラ・レオポルジーナ案をやめ、文協横の陸軍兵舎を買収して、ここを日伯総合センター(大竹ルイ建築家設計)にするというものだ。このアイデアを高等審議会に提案し、理事会に助言すると、野村元下議は語った。
 同審議会の植木会長自身が「上原氏は信任するが箱物建設には不賛成」との見解を持っているとの話が流れており、メンバーの何人かは野村氏に同調する可能性があるようだ。その場合、上原会長と渡部和夫改革委員が飲むかどうかで、大きく二つのシナリオが描ける。
 上原会長らが審議会の折衷案を蹴り、あくまでヴィラ・レオポルジーナ案にこだわった場合、反対派が大同団結するとの観測もある。その場合、執行部シャッパ対反対シャッパの一騎打ちになり、反対派に有利な展開になる。実際、反対各派ともにシャッパに必要な三十六人を集めるのに苦労しているとの話も。お互いの意見を交換する機会を設けているなどの情報もあり、有り得ない筋書きではない。
 もし、上原会長が折衷案を飲んだ場合、逆に反対勢力の一部が執行部に合流する可能性も指摘されており、反対派には不利な状況になりそうだ。ただし、今までの祭典協会のこだわり具合を考えた場合、簡単には承服しないだろう。
 また二十四日に開催される谷派の決起パーティに、一世を中心に数百人が集まるようなら、大きな圧力として働くだろう。すでに徐々に文協会員は増え始めており、〃谷効果〃もしくは〃選挙効果〃は、これら意思決定を左右する重要な要因になるだろう。
 出馬表明以来、選挙に関して沈黙を守る上原会長だが、十二日の説明会の後で本紙記者の質問に答え、「さ来週(二十日からの一週間)には記者会見を開いて、次の二年間の方針を発表するつもりです」と語った。五十一年間、USP工学部というのブラジルエンジニア界の最先端で生き抜いてきた上原氏。どのような〃大人の判断〃が下されるかが注目されよう。
 三つ巴か、一騎打ちなのか、はたまた単一シャッパか。もちろん高等審議会の助言の影響は大きいが、本当のカギを握るのは、文協会員の動向に他ならない。今後の情勢次第では、まだまだいろいろな展開が可能のようだ。

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