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コラム 樹海

 関東や阪神両大震災などと日本列島は「地震天国」だが、二十日の福岡には専門家もびっくり仰天する。震源地の玄海灘での地震の規模はM7であり、福岡管区気象台が1890年に観測を開始してから最大のものとされる。死者一人と負傷者が四百人と大きな地震のわりには被害が少なかったのが何よりであった。それでも玄界島では住宅が200軒近くが倒れたし、福岡市の中心街ではビルの窓ガラスが割れもした▼気象庁の説明によると「九州の北部は、これまで、ほとんど地震がなかった場所」だそうだが、このような「空白地帯」でも、地震は発生する。阪神大震災も無警戒だったし、昨年の新潟中越地震も2000年の鳥取県西部地震も同じである。日本列島では、何処にでも地震はあるし、きちんとした防災対策を怠ると悲惨な結果になる。東京に直下型地震が起きた場合、国の中央防災会議は「人的な被害は最悪で1万3000人、経済被害は約112兆円」と想定している▼だが、この程度で済むかどうかの保証は何もない。地震大国なのだから家屋や建物の防震対策が進んでいるかといえば、必ずしもそうはなっていない。避難場所に利用される公共施設の耐震化も6割ほどだし、一般の住宅はもっともっと低い。阪神大震災の犠牲者の80%以上は建物の倒壊が原因であったことを忘れてはなるまい▼これは関東大震災のときも同じであり国をあげての地震対策を急ぐべきは言うまでもない。自衛隊の出動や救護活動・復旧支援・ヴォランティアなどお互いに支え助け合うシステムの整備も急がねばなるまい。(遯)

 05/3/24

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