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やっぱり、そうか=「年功序列」式抜け出せず=硬直?援協役付き選挙=円満に収まる方法選ぶ

3月25日(金)

 【既報、解説】やっぱり、そうか。援協から提出された新役員の役付き理事編成表をみて、少し力が抜けた。和井武一会長が現職を退いて、名誉会長に就任。酒井清一第一副会長が二世で初めて、会長に選出されたことで、確かに、新しい時代に足を一歩踏み入れた。しかし会長、副会長の序列自体には手が加えられず、人事がマンネリ化しているとも言えそうだ。菊地義治第五副会長を第一副会長に昇格させるという〃冒険〃を試みようとした。が、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論の末に、もっとも円満に収まる方法を選んだようだ。(古杉征己記者)

 約二十年ぶりの投票になるか──。援協総会後、初の理事会が、二十三日、同会本部で行われた。役付け選挙が実施される直前まで、トップ人事は流動的だった。副会長五人に、援協内外で「この人なら」と実力を認められる人材がいなかったからだ。誰もが納得出来る選出方法は、投票しかないと考えられた。
 和井会長は妻の看病のため昨年十月から、仕事の一部を酒井第一副会長(会長代行)に任せていた上、自身のけがのため、この日も欠席。現職から下りることは確実視されていた。
 「対ブラジル関係を重視するなら酒井さん、対日本なら菊地さん」。和井氏は昨年、次期会長候補について、非公式にそう発言していた。援協に十億円以上を拠出している神内良一名誉会長の意向が、動いていたのかもしれない。
 前日二十二日、新役員に関する人事の調整会議が開かれた。和井氏の考えを反映させる形で、酒井第一副会長が会長に、菊地第五副会長を第一副会長に抜擢するという案が出た。
 トップ人事で序列を飛び越えて昇格させるというのは近年稀にみることで、実現すれば画期的なことだった。関係者の一人は「ここ二、三年、戦後移住五十周年記念事業で、菊地さんは実績をつくり、ブラジル社会にコネをつくった」と期待の大きさを感じさせた。
 しかし、現実には〃和井構想〃はくつがえされた。同第五副会長は、理事会入りしてまだ十年で経験不足だと、抵抗にあったからだ。「この案が、決まっていたら亀裂が走っただろう」(関係者談)。
 「社会の底辺にいる、恵まれない人々を救うこと」。福祉団体として、援協の大きな使命だ。それにはまず、手を差し伸べる組織自体が円満でないとダメだと最終的な判断が下された。理事会も、〃年功序列〃式のシャッパに首を縦に振った。
 「一世がいる限り、その医療・福祉の世話をしたい。そのために、人材育成が一番の課題です」。
 援協は、百周年祭典協会に代表者を送り出しているとはいえ、団体として積極的に関わっていく姿勢は示していない。創立の趣旨を徹底させるために、足元を固めておこうとの考えだ。 年間予算は一億レアルを超え、世代交代も進行して運営は楽ではない。このような状況の中で、人事が硬直しているというのは危険なことかもしれない。

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