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コラム 樹海

 明日の四月一日から日本では「ペイオフが全面的に解禁」される。銀行や信用金庫などの金融機関が破綻した場合、銀行に預金している人は、一人当たり1000万円とその利子は保証されるがこれを超える金額についての保証はなくなる。つまり、1000万円以上の定期預金などをするときには、銀行をよく調べて呉々もご注意を―という制度である▼当座預金などの決済用預金は全額保証されるのだが、庶民にとって大切なのは定期預金のような貯蓄型預金なのであり、これからは銀行選びが極めて重要になる。政府は金融機関の体質がかなり改善されたとしてのペイオフ解禁なのだが必ずしも健康体質とは言い難い。確かに不良債権比率は8%超から今や4%台に減少したし健全化は進んではいる。だが、公的な資金で資本補強されている状態が続き、地方銀行でも経営基盤が脆弱なところが少なくない▼「銀行は安全」は、もはや神話にすぎない。日本長期信用銀行と日本債権信用銀行や北海道拓殖銀行の破綻は今も記憶に新しい。地方銀行では足利銀行の国有化もあり、1990年代初めから破綻処理された銀行や信用金庫・組合は百八十一にもなる。このために使われた費用は二十五兆円。このうち十兆四千億円は税金で穴埋めされた国民負担である▼これとは別に銀行経営を支えるために九兆円もの公的資金が投入されている。これでは―とても「健康体」とは申し難い。こうした多くの難問を抱えてのペイオフ解禁であり、銀行や信用金庫という金融機関への監視を緩めてはなるまい。 (遯)

05/3/31

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