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■ひとマチ点描■ペルーで命拾い

4月8日(金)

 「今は、第2の人生ですよ」と語るのは、南米初のアミノ酸工場開設、個食スープ新商品発売開始など、最近立て続けに話題になっている味の素ブラジル子会社の社長、酒井芳彦さん(写真)だ。
 実は酒井さん、1996年12月に起きた在ペルー大使館公邸占拠事件の人質の1人だった。127日後、ペルーの特殊部隊と軍が強行突入して救出されたが、紙一重の際どい経験だったようだ。
 「突入のとき、2階の部屋にいたんですが、特殊部隊は外からパンパン撃ってる。このままでは危ないということで、窓から、割れたガラスが錯乱した中庭から飛び降りたんです。下は大理石で、そのショックで脊椎を圧迫骨折してしまいました」。テロリストグループに行動制限され、4カ月も運動していなかったため、筋肉が衰えていたようだ。
 ペルー者の責任者だったが、社命で開放2日目に帰国。「日本の土を踏んだときはさすがに安心した。でも、あのおかげで今でも危機管理は徹底しているよ」とあっけらかんと笑った。         (深)

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