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コラム 樹海

 注目の文協会長選挙がきょう16日行われる。勿論、文協の会長選挙に複数の候補者が出馬するのは初めてであり、選挙管理委員会も何かと手間取ったようだ。これまでは、首脳たちの話し合いによる「禅譲」が決まりで選挙は言わば形式的なものであったのは否定できない。今回は候補者が討論会でそれぞれに抱負や運営方針について活発な意見を述べたのは大変結構な事だ▼選挙結果の順位についてもかなり揉めたらしい。結局「一位が過半数に達しない場合は、一位と二位の決戦投票とする」と決定したがこれはブラジルの大統領選などを参考にしたものだろう。これについては石橋湛山氏の話が思い出される。鳩山首相が引退し次期総裁を決める選挙のとき、第一回目では岸信介氏がトップになったのだが、過半数には達していない。そこで決戦投票となったのだが、この時に石田博英氏という機略家が大活躍する。三位だった石井光次郎氏を口説き「石橋・石井連合」を結成し総裁の座を勝ち獲ったのである▼この機知に富む戦略は銭湯で湯にひたる庶民の間でも取り上げられるほどの大人気であった。あるいは―この会長選挙でも、こんなウイット作戦が生まれてドンデン返しが起こるやも知れぬ。と、笑い話を連ねてきたが、文協の会長選挙には、過去にも忌まわしい「悪」もあった。中沢源一郎氏の2期目だったかに評議委員会の会長が、投票用紙の集計のとき中沢氏有利にと水増したのである。無論―源一郎会長はまったく知らぬこと。怒りは爆発し、評議委員会長はクビとなったのお粗末の寸劇である。    (遯)

05/4/16

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