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下本氏が握る決選の行方=上原、谷両候補に条件提示=文協会長選

4月23日(土)

 十六日の選挙で落選したものの、二週間足らずの選挙活動で二百四十四票を獲得し、コロニアに強い地盤を持っているところを見せつけた下本八郎氏。
 同氏の動きが三十日の決選投票を左右するともいわれている中、すでに水面下で谷、上原両陣営との話し合いが行われている。高等審議会や現執行部幹部からは、上原氏に協力するよう要請があるようだ。
 十八日、谷候補は自身のシャッパに入っている諸川有朋氏を伴って、下本氏の事務所を訪ねた。ある意味、初めて個人的に顔を合わせた機会となった。レオポルジーナ廃案をマニフェストに掲げた二人だけに、具体的な話も出たようだ。
 今まで谷候補の選挙手法や公約を批判してきた下本氏は「谷さんの考えや意見を直接聞いていなかったから良かった」と語る。
 谷氏は「色々話すことができた。誤解はとけたのでは」とし、下本派のけん引役である横田パウロ氏とも後日会って、「一緒に仕事できる人間」という感触を得ているという。
 会談で下本氏は獲得した票の価値を強調、百周年での役割や谷候補が明言しているシャッパ解体後のメンバーについてなど、いくつかの条件を提示した。
 「個人的な行動は取りたくない」としながら、「メンバーは(僕に)任せるといっている」と発言。自分に決定権があることをほのめかした。
 谷陣営は二十五日に会合を開き、提示された条件の内容を検討する考えだ。
 下本氏は「自分は上原反対の立場で立候補したし、同じ野党でもある谷さんと一緒にやるのが本当だろう……」と、本紙記者の取材に谷陣営との連立の可能性を匂わせている。
 一方、上原氏は二十日、陣営の小川彰夫広報担当理事とともに下本氏を訪問した。主な趣旨は、下本氏が務めた文協会計監査や選挙での尽力を労うものだったようだが、決選投票を睨んだ内容にも言及した。
 小川理事によれば、「選挙が終わっても、一緒に仕事を続けていこう」と両者は話し、二十五日、両陣営の幹部による会合も約束されたという。
 ただ、下本氏はレオポルジーナ廃案の確約を協力の最大条件としている。決選投票日の三十日に百周年記念祭典協会の総会があるというのも微妙に影響を与えそうだが、上原氏がその条件を飲むかどうか。
 文協会長選挙の鍵を握るとみられる下本氏は二十二日現在、保養地ベルチオガに所有するアパートで、考えをまとめている最中だという。

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