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「谷さん、まだ係争中?」=取り下げ遅れ=不信広がる

5月17日(火)

 文協幹部や一部コロニアで、文協会長選挙に出馬した谷広海候補が「裁判をまだ取り下げていない」との情報が流れていたが、本紙の取材で今月十二日、訴訟の取り下げ申請を行っていたことが分かった。
 「谷さんは本当に裁判を取り下げたんですかね?」
 そんな声を文協関係の二世数人から耳にした。裁判沙汰にもなった文協選挙から、約二週間。このような発言から、現執行部側で、谷広海元候補に対する不信が完全に払拭されていない印象を受ける。
 知り合いの弁護士事務所を通じて、裁判所に確認を行ったある文協幹部の一人から、「まだ訴訟の取り下げが行われていない」との情報が本紙編集部に伝えられた。
 本紙の取材で、谷氏の担当弁護士が裁判所に取り下げ申請を行ったのと、同幹部が確認を行ったのは同十二日だったことが判明した。
 今回の裁判関係の手続きを担当弁護士と行った諸川有朋氏は本紙の電話取材に答え、「マセイオーに帰った谷氏にサインなどを送ってもらい文書を作成した。委任状を渡している担当弁護士に申請を依頼したのは十日」と説明する。
 「まだ、係争中だと聞いているが」との本紙の問いに、諸川氏は担当弁護士に確認。「結局、十二日に提訴取り下げ手続きを行ったようだ」と申請が遅れたことを伝えた。
 十二日の段階で裁判がまだ取り下げられていないことを知ったある文協幹部は、「びっくりしている。もし、裁判を続けるなら、こちらも異議を申し立てる準備がある」と困惑の表情を見せていた。
 決選投票が行われた先月三十日から、すでに二週間が経過していることに加え、申請と確認が同日に行われたという行き違いから、関係者に波紋が広がったようだ。
 裁判問題に詳しい渡部和夫文協顧問は、「原告による裁判の取り下げは簡単。数日中、遅くても一週間で受理されるのでは」と見ている。取り下げ申請が受理されれば、官報に発表され、弁護士を通じて原告側に伝えられるという。

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