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東洋人街を改善しよう=敏腕家のセ地区長が意欲=コーディネータ役に日系ヒロさんを登用=対話集会に200人

5月20日(金)

 「ヒロは、リベルダーデにおける私の目であり耳だ」。サンパウロ市セ地区役所のアンドレア・マタラーゾ地区長は十六日夜、ニッケイパラセ・ホテルで開催された「東洋系コミュニティとの対話集会」で高らかに宣言した。コーディネータの任務を任されたのはフェルナンド・ヒロさん(45、二世)。日系人を代表に登用し、治安を良くすることを始め、生ゴミの道端放置を減らすことや、道路や歩道の穴の修復に関して強い意欲を見せる同地区長の演説に、約二百人以上の参加者は大きな拍手を送った。
 最初に、地区住民から苦情や提案が一人三分ずつ語れた。サンパウロ商業協会のロベルト・オルジーニ副会長は、「たくさんの旅行者がここを訪れる。サンパウロ市が観光の町になるために必要な要素が、ここに埋もれている。セントロはサンパウロ市の顔であり、鏡だ。いや、この国の顔といってもいいかもしれない。それに相応しい行政の対応が求められている」と地区長に要請した。
 マタラーゾ地区長は、かの有名なマタラーゾ財閥の創始者フランシスコ・マタラーゾ氏の曾孫にあたり、駐ローマ・イタリア大使を務めたほか、カルドーゾ政権時代には広報長官も経験したベテラン政治家。
 神谷牛太郎市議は「ここは世界の東洋人街のモデルだ。日本移民百周年が近づいている現在、すぐにでも市役所と住民が協力して、ここを舞台に祭典の準備を始めること必要がある」との考えを述べた。
 リベルダーデ文化福祉協会の池崎博文会長も「広場の生ゴミ、治安、不法カメローをなんとかするための特別なフィスカルをなんとかお願いできないか」と求めた。
 グループ・ニッケイの島袋レダ会長、吉岡黎明文協副会長、ニッケイ新聞社の高木ラウル社長、サンジョアキン街の住人らが次々に意見を述べた。
 ジャバクアラ区の飯星ワルテル地区長も姿を見せ、「私はここで生まれ育った」と振り返り、セントロのクロコランジアから不法住民を追い出した同地区長の手腕を誉めあげた。
 これら意見に対し、マタラーゾ地区長は「セーラ市長が常々強調しているように、セントロ地区は非常に可能性の高い重要な地区だ。ここで聞いた要請に対し積極的に対処していきたい」と答えた。具体的には治安対策の強化、夜間照明の増設、不法カメロー撤去などの対策を紹介し、「民間との協力や役割分担を強化しつつ、問題解決に全力を挙げる」と約束した。
 火事焼失後に放置されている州立校カンポス・サーレス跡に、不法占拠者が住み着いているなどの問題が住民から指摘されたことに対し、「私自身、何十回も指摘してきた問題だ。この周辺にあちこちあるコルチッソ(貧困者密集地区)から、もっと生活条件のいい所に立ち退いてもらうことも視野に入れている」と総合的な対策をとる準備があることを示唆した。
 小林セルジオ市広報局長も「カンポス・サーレスがコミュニティの関心事である限り、市はできるだけの対処をすることを保証する」と明言した。
 その上で地区長は、ヒロ氏を東洋系コミュニティのコーディネータに指名し、会場から拍手が送られた。これは元々、故・小林パウロ下議が温めていたアイデアの役職で、市役所と住民や団体の間に入って、各種要請の調整をするもの。
 ヒロ氏は「東洋人街住民の声を市役所に伝えるという、重大な責任を感じている。将来的には、みんながすぐに駆け込めるようにリベルダーデに事務所を作りたい」との抱負を語った。

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