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総領事公邸で勲章を伝達=日語教育の増田さん=GB普及の本藤さん

5月31日(火)

 平成十七年度春の叙勲伝達式が二十七日午後三時から、サンパウロ総領事公邸(石田仁宏総領事)で行われた。邦人受賞者の増田敏明さん(81)、本藤利さん(73)に旭日単光章が総領事から伝達授与された。初めに、この日出席予定だった故野村丈吾元連邦下院議員に黙祷が捧げられた。
 石田総領事は受章両氏に対して、「豊かな経験と貴重な知識を活かして、これからも日本とブラジルの親善交流をして欲しい」と話した。
 増田さんは青年期に日伯両語の教育を受けた経験から教育を重視し、日本語学校の運営、発展に大きく貢献した。三〇年、ブラジル拓殖組合が造成したチエテ移住地に家族と共に入植。家業の傍ら、青年部活動に参加しスポーツ、文化活動に積極的に取り組んだ。五五年にはペレイラ・バレット文化体育協会の初代書記に就任し、その後、会長を歴任した。
 子弟の教育は、最重要課題であるととらえ、日本語学校の市公認化を実現させ、日系人のアイデンティティーを形成させることに大きな成果をあげた。さらには、日系人のみならず非日系市民をも包括した教育活動を実施している。
 「驚いた。私が勲章をもらう資格はない」と謙遜する増田さんは、今日まで日系・非日系を問わず余人に認められている。
 一方、本藤さんは瑞穂文化協会の会長に就任し、地元の日系社会を発展させた。また、ゲートボールの普及発展、国際化に尽くし、競技を通じてブラジル国内外の日系社会間の交流を促進してきた。
 十九歳の時にサン・ベルナルド・ド・カンポ郡瑞穂植民地内の農場に十ヵ年契約で管理責任者として入植。契約終了後、同植民地内に農地を購入して集約多角農業に取り組み、独立した。
 その後、植民会(現在、瑞穂文化協会)の活動、運営に参加。能力を発揮し、執行部の運動部理事、ついには同会会長に就任した。また、ゲートボールの南米普及に力を注ぐため同会長を退任し、ブラジル・ゲートボール連合の組織強化、専用スタジアム建設に力を尽くした。現在は中南米諸国の日系社会との交流もさかんになっている。
 本藤さんは「私の受賞に対して、ゲートボールの仲間が、『まるで自分が受賞したみたいに嬉しい』と言ってくれたことが一番嬉しかった」と喜びをかみ締めた。

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