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金田さん96歳特別出演――江差追分ブラジル大会――会田さん輝く優勝

6月9日(木)

 「うまい下手ではなく、長年唄っている人の民謡は違う。感動しました。私たちの目標です」。江差追分会ブラジル支部の石川諭会長は、五日に行われた第十六回江差追分ブラジル大会に特別出演した金田敏夫さん(96)の唄声を聴き、涙ぐんだ。
 同大会は、午前九時から北海道交流センターで行われ、老若男女約六十人が緊張の面持ちの中、それぞれの唄声を披露した。参加者は、九月に北海道江差町で行われる第四十三回江差追分全国大会への出場をかけ、この日のために練習を重ねてきた人ばかり。
 金田さんは、第三十七回江差追分全国大会に出場し、見事準優勝した経験を持つ。この日はオウリニョスからバスで会場まで来た。「今日は自信も何もないですよ。だってその日の体調ひとつで唄が変わるから」と話す金田さんは六十七歳から民謡を始めた。以来、第一回目から同大会に出場している。唄の途中、声が出なくなる場面もあったが、杖をつきながらも力強い唄声を披露し、約百人の聴衆は敬意の込もった盛大な拍手を贈った。
 唄うために、たらいの水に顔をつけて、息を続かせる訓練をしたという金田さんは「唄える間は一生懸命唄うんです。今大会は十六回目だけど、まだ日本で私以外決勝までいってないので頑張って欲しい」と励ました。
 日本民謡の中で最も難曲の一つと言われる江差追分。「難しいけど唄うとやめられない魅力がある。何百年と唄い継がれてきたこの素晴らしい日本文化を伝承して二、三世まで唄い継いでいかなければならない。今日は皆さん頑張りましょう」と石川会長が挨拶し大会が始まった。
 高年の部(七十歳以上)、一般の部(十五歳から六十九歳)、子供の部(十四歳まで)、優勝者の部、最優勝者の部に分かれ、審査が進められた。
 「四年前から民謡を始めた」。タウバテ海藤三味太鼓教室(海藤司代表)に通う二世の江田グスターボさん(18)は、ベロ・オリゾンテから今大会に参加した。民謡の他に尺八、三味線も演奏する。三味線を始めて五ヵ月だが、すでに形になる程の上達ぶり。「民謡と一緒に日本語も勉強した」と言うように日本語も上手に話す。
 全伯歌謡曲大会で優勝し、日本の大会に出場した経験がある西村まりさん(18)は三世。「民謡は歌謡曲と違って難しいけど、民謡の全てが好き」と話す。
 最近は、民謡を唄う若者が減ったと言われているが、今大会は子供を含む約二十人の若者の活躍が光った。
 午後からは第五回道南口説節コンクールが行われた。参加者は、江差追分とは対照的に三味線の軽やかなリズムにのせて唄った。伴奏の三味線は海藤さんの息子、娘、教え子らが演奏した。
 最後に審査結果が発表され、道南口説節では海藤さんの娘の紀予さん(20)がグランプリを獲得した。
 江差追分では最後に三人が選出され、三位を赤堀正義さん(24)、準優勝を高井勲さん(70)が獲得。それぞれトロフィーを石川会長から受け取った。そして見事優勝を飾ったのは、会田郁子さん(71)。支部代表として九月に北海道で行われる全国大会出場の切符を手にした。「何度も何度も練習した」という会田さんは驚きと喜びを隠せない様子だった。
 歌謡や演歌と違い、民謡は百年前から唄い継がれるなど流行りすたりがないのが魅力と言われている。参加者は今大会で「改めて民謡の良さを認識した」と感想を述べた。

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