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コラム 樹海

 救済会の左近寿一会長が、さきごろ「高齢者の家庭介護講習会」の催し案内に来社したとき「当会の仕事も、介護指導の担い手も、すでに代替わりしているんですよ」とわざわざ強調した。日系の老人病専門医師、物理療法士、心理士、福祉士が、十分に活動しているということだ▼今月は、文協ビルの貴賓室で、介護する家族のための講習会サイクルを行う。健康管理、転倒を防ぐ、投薬注意、食事療法―である。対象は日系人にこだわっていない。また、講習会は、ポ語で進行するが、必要とあれば、日本語に通訳するといっている。ブラジル日本文化協会まで後援団体に引き込んでしまう。一世世代では考えられなかったことだ▼二世、三世の講師たちにあたかも押し出されるように、従来、コロニアの諸活動の中心だった一世は、ほぼ完全に介護される側に回った。いま、救済会は、「要望に応えて講習会をやる」という言い方をする。要望した受講者たちは必要に迫られた子孫たちである▼憩の園(救済会経営)では、過去十回「在宅介護」講習会を実施、受講者に終了書を手渡した。聞けば、戦略的なのである。受講者は園の近くのいわゆる地域住民、非日系人だった。介護の仕方を教えることによって、救済会の活動がより理解され、地域の治安回復に役立つというねらいもある。さらに、受講者が老人施設の従業員なら、日常担当する仕事の格上げにつながるというメリットも考えられる▼柔軟で専門的な救済会事業の後継者たちは今や「柱」である。(神)

05/6/22

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