ホーム | 日系社会ニュース | 観光と業務=ビザ一緒に=シルバー移住者に好待遇=新外国人法案=本格審議へ=現行法は81年から=「時代に合わせ変更」

観光と業務=ビザ一緒に=シルバー移住者に好待遇=新外国人法案=本格審議へ=現行法は81年から=「時代に合わせ変更」

2005年9月10日(土)

 外国人法(移民法)の新法案では観光ビザと業務ビザ(visto de negocios)が一緒になり、駐在員には便利になりそうだ。現在二十万ドルの投資をしないともらいない永住ビザが新法案では金額が明示されていない。外国からの定年退職者受け入れも進められる見込み。その他、留学、一時滞在、婚姻などでも大きな変更がありそうだ。
 査証手続きに詳しいリベルコン社の高田フェルナンドさんによれば、「来年ぐらいに議会で本格的に審議され、再来年ぐらいから施行されるのでは」と予測する。「今後の議論次第でまだ変わる可能性がある」と指摘する。現行法は八一年に施行されたもので、「時代に合わせた様々な変更がなされている」という。
 主だった変更点は次の通り。観光ビザと業務ビザが一緒になって期間が五年間、複数回の出入国が可能になる。ただし、一年間に何日まで滞在可能なのかは明文化されていない。
 高額な年金をもらう定年退職外国人にたくさん住んでもらうために特別なビザを発給し、事実上、ブラジル市民権にちかい待遇とする。四日付けエスタード紙の解説記事によれば「特に欧州人、日本人など」とある。
 滞在ビザ(留学ビザ)では留学先を変更することができなかったが、新法案では変更可。しかも、企業の研修も正式にこのなかに含める形になった。
 駐在員関係の変更点は多い。従来はいっさいの現地収入が認められなかった業務ビザだが、日当や滞在費をもらってもいい法案になっている。また、現行法では基本的に会社役員は永住ビザを取らなくてはならないが、一時滞在ビザの中にあたらしく役員用の二年間の資格(延長可)が創設された。
 ブラジル人と結婚した外国人の場合、現在はすぐに永住ビザがもらえるが、法案では五年間の一時滞在ビザの後、婚姻関係が続いていれば永住ビザに切り替えることになる。
 定年退職者用の永住ビザは、ほぼ市民権同様の扱いとなる。起業して雇用を生むことは奨励されるが、従業員となることは認められない。
 永住ビザを申請する資格条件の一つに、「ブラジルに対して顕著な貢献ができ、専門分野において目覚しい職歴があること」(二十四条三項)が新しく加えられた。
 その他、今までなかった、外国人の会社創業、結婚・離婚・死亡などの登録を連邦警察にする件も入った。外国人がブラジル以外に滞在する場合、二年おきに帰伯して手続きする必要があるが、法案ではブラジル籍の配偶者・子孫がいる場合は四年まで延長できる。
 なお法案百十九条では、祖国の政治活動でも、外国人同胞内のことであっても、外国人による政治色のある一切の活動は禁止と明文化された。「行進、行列、喜劇、会議であっても」との註までつく。ただし、ポルトガル人はその限りにあらず。
 これら変更点のすべての基礎となっているのは三条の「移民の目的は基本的に、雇用や収入の創出や獲得のため、ブラジルの経済・社会・文化・科学・技術の発展の役に立つような特定分野の人材への入国許可である」という考え方。
同法案は三十日まで法務省サイト(www.mj.gov.br/estrangeiros/consultas/consulta01_05.htm)で公開され、一般からの意見を求めている。

image_print