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何歳になっても諦めない=ペルーの高齢日系2世らが絵画展=文協で11月5日まで

2005年10月29日(土)

 ペルーの高齢二世らの絵画展が十一月五日まで、サンパウロ市のブラジル日本文化協会で開催される。同国日系人協会(APJ、岩本アウグスト会長)の絵画教室「カミノ・デ・ラ・フェリシダ」(自由への道)の生徒展だ。出品作家三十八人の平均年齢は七十五歳。ペルーらしい草花やインディオが画題の作品が並んだ。同教室のマルハ・アバント講師は「右半身不随、引きこもりだった高齢者の生徒が絵画制作で立ち直った例もある。彼らの作品を通して、決してあきらめない気持ちが伝われば」と語る。
 二十八日の開幕日を前に来伯した二十二人の生徒の大半は七、八十代の高齢者。最高齢は九十歳だ。
 「何歳になってもあきらめない」精神をモットーに外国でも積極的に展覧会を開いている。
 ブラジルでは九四年に続いて二回目だ。以後メキシコ、チリ、ボリビア、アルゼンチンを巡覧、各地で日系人と交流を深めてきた。
 今回はサンパウロ市の日系老人クラブ連合会を訪問。「こちらの老人クラブは立派ですね」と、二世の徳田エミコさん(81)は感想を話した。
 インディオやペルーならではの景色、草花を描いた素朴な絵が好評だ。同教室が始まったのは十四年前。
 「それまでは日本人学校で絵を教えていましたが、子供たちや若者を対象とした教室はたくさんあるけど、高齢者たちの活動の場が少ないことを知って、やることにしました」。そう話す講師のアバントさんは非日系人だが、約七十人いる会員の中心は日系二世になっている。
 楽しみにやってきたという山下ヒデコさん(66)も二世。「ブラジルの文化協会には大変温かく迎えてもらったという話をよく聞いたので」と語る。
 ただ、前回は文協の招待だったが、今回は自費で会場を借りている。会員からは「これまで各国の展覧会では招いていただいていた。こちらは十一年前と対応が違うのでちょっと寂しかった」と残念がる声も。
 これに対し、文協の中島エドアルド剛事務局長は「連絡があった時期は上原会長やわたしは訪日中だった」と説明した。
 その後ペルー側から特別に共催を申し込まなかったせいもあるが、「ブラジルの日系のみなさんとも交流をしたい。ぜひいらしてください」と来伯した会員は呼び掛けている。
 会場では作品がプリントされたメッセージカードも三レアルから販売される。展示された絵もいくつか販売可能。
 展示は午前十時から午後六時まで。会場は文協ビル内日系美術館。

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