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日本就労者のために=ブラジル全土=中南米に=日本語速成塾=06年から3年間で設置=センター、案を発表

2005年11月5日(土)

 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は、短期間で日本語を身につけられる「日本就労者向け日本語速成塾」を、二〇〇六年四月から三年間で、ブラジル全土および中南米各国に設置する案を発表した。同センターに所属する約六百人の日本語教師の中から、専門講師など約百二十人を養成していく。四年目からは教材販売、講座の収益により運営を自立させていきたい考えだ。
 現在、日本で就労している日系人は約三十万人。この中には生活習慣に馴染めず職を失い、犯罪に走るものもいる。子弟教育なども社会問題となっているが、これら最大の原因は、就労者が日本語を理解せずに訪日することにある。それを憂慮し、解決策を求めてこの事業計画を打ち出した。
 谷理事長は「日本人の顔をしているのに日本語を話せなかったら恥ずかしいでしょ。それだけではなくて、企業にとっては日本語が話せる人がいることで生産が効率よくなって助かる。就労者自身の能力向上にもつながると思う」と話す。
 また、同案は日系四世以降の若い世代が短期日本就労により学費を得て、進学できる機会が広がるという目的も含まれている。
 講座期間は三ヵ月間。「サバイバルな日本語」を取得することを目的に、基本会話や日本事情、重要書類の書き方などを学んでいく。
 また、講座修了者には日本就労ビザ取得を有利にするように、修了証明書を授与する。さらに総領事館などの関係官庁と協同し、すべての日本就労希望者が日本語の基本を身につけてから日本に送り出すようにする考えだ。これには、日本就労希望者は日本語をある程度習得しなければならないという義務づけも意図に組み込まれている。
 教師養成については「先生のための先生」を意味する専門講師約十二人と、日本で働くことを希望する者に直接日本語を教える認定講師約百二十人の二つに分けて養成していく。地域別日本就労者数を調査し、地域に必要とされる教師数を決定、認定教師を各地域に派遣して、それぞれが教室を開設していく予定だ。また、指導レベル向上のため、定期的に教師研修を行う。これによって、日本語教師の地位向上をはかることも目的としている。
 「まだ日本は日系人の労働力を必要としている」と言う谷理事長。「ブラジルだけではなく、中南米諸国における就労前日本語教育システムを構築することは大切だ。少しでも日本語を覚えて日本で就労してくれたら嬉しい」と語った。

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