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「花大根移民創りし農学校」=――西村農工学校卒業式、生徒ら校主に贈る――=入学した半数25人が巣立つ=きつかった校則=家族に花束渡し涙

2005年12月06日(火)

 今年で二十二回目を迎える西村農工学校の卒業式が、三日午後七時から同校講堂で行われた。会場には西林万寿夫総領事、ポンペイアのアルバーロ・プリソン・ジャヌアーリオ市長をはじめ卒業生の家族ら約九百人が訪れた。この日、西村俊治代表は体調がすぐれず欠席。初めて西村さんがいない式典となったが、卒業生二十五人は感謝の言葉を述べ卒業の喜びに涙した。
 「卒業して日本、アメリカなどに研修に行くが、この三年間の勉強が成果をあげるよう期待している。今年もいろいろな人の援助があって卒業式を迎えられた。これを心に留めて世界に羽ばたいてください」との西村さんのメッセージを息子のジョルジさんが代読。また、八日に九十五歳を迎える西村さんを祝して、「花大根 移民創りし 農学校」と彫られた円型の記念タイルが生徒から贈呈された。これは生徒が色とりどりのタイルを貼って作ったもの。
 西林総領事は「西村先生は学校だけではなく地域に貢献されている。そのような先生のもとで学んだ生徒だから水準が高いはず。いろいろな使命を持ちながらブラジル農業に貢献するよう頑張ってください」と激励した。
 生徒を代表して挨拶をしたルシアーノ・マルシロ・ペレイロさん(19)は「文化が違う人が集まってここで勉強した。今は皆と別れるのが辛い。この三千巻は素晴らしかった」と話し「西村先生にはいつも命について教わった。生き方の指針を示してくれた」と感謝を表した。
 今年の卒業生は二十五人中、日系は四人と十年ほど前から非日系人の割合が多くなってきている。そのため、一回遅刻しただけで退学処分になるなど、西村さんの厳しい教育方針に耐えられず自ら止めてしまう生徒も多かったそう。入学当時五十人いた生徒も半分に減った。「一ヵ月に一回しか家族に会えないのが辛かった」と口々に感想を漏らすように、感謝の気持ちを込めて花束を家族に手渡す時には涙を抑えきれず泣き出す生徒も多かった。
 パラグアイから来たホドルフォ・ビニーラさん(18)は「違う国から来たし、しんどいことも多かったけどアミーゴを作れたのが一番の財産」。
 「同級生が選ぶ優秀生徒賞」、誰からも好かれたことを称える「melhor amigo da turma」と二つの賞に選ばれた星野アキラさん(17)はバイア州バレイラスの出身。「一年生の時が何もわからなかったし一番辛かった。でもやっぱり友達と一緒に乗り越えたのが大きかった」と語った。
 二年前、同校で日本ブラジル交流協会生として一年間研修していた木下梓さんはこの日のために来伯。「去年も来た。特に今年は研修時代の時から見ていた子たちが卒業だから、感動した。みんな成長した」と感慨深げに話した。

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